アキダイやその社長の秋葉弘道氏は、2019年の流行語大賞のトップ10位入りし、
「軽減税率」を現場目線で良く説明したとして表彰された。テレビの挨拶でしゃべる内容を
忘れてしまったが、これもご愛敬と、ますますの人気者である。
アキダイは東京の練馬区、杉並区に青果に強い小型スーパーを6店展開し、ほかに手作りパン工房、炭火焼き鳥、飲食店も各1店持つ。私の娘も練馬区に住むためちょくちょく練馬区関町の本店を利用する。私自身も昔、青果店の総合化のチェーン「みどりチェーン」を組織したり、青果や乾物を個性とする小型スーパーの開店実務指導をしてきた。だが大型スーパーが増え、私の手掛けた青果出の小型スーパーは多くがのこっていない。こうした中、今も繁盛しているアキダイを見たくて、1度関町の本店を訪ねた。西武新宿線の関町駅から2分とほどの住宅地のなかの店舗。間口12.7m×奥行23.6m=約300㎡、レジ3台、今標準的スーパーは1,000㎡~1,500㎡だから、小型スーパーの部類に違いない。
個性を青果に求めておりその品揃えは並のスーパーをしのぐ。鮮魚や精肉、加工食品は売れ筋にしぼり扱う程度だが、ワンストップ(一か所で揃う)の便利性に配慮している。
個性の一つはテレビでさんざん見ているように、商品とりわけ青果についての商品説明力だろう。HPを見ると店長メセージとして「ここ本店ならではの品揃えに自信があり、アットホームなお店つくりを心がけています。お気づきの点がございましたら、スタッフにお声をかけてください。アキダイにしかない、自家製お漬物しょうちゃん漬を心をこめて漬けております。ぜひ食べて頂けたら嬉しいです」とうたわれている。小型スーパーとして顧客との対話や、個性商品(漬物)を重視しているかが見てとれる。
なぜアキダイがこれほど有名になったんだろうか・・・「軽減税率」だけでなく、やはり毎日のようにテレビに登場し、野菜や果物、その他生鮮品などの生産や価格の動向をしゃべってくれるからである。一般のチェーンスーパーは地区本部長―店長―現場の部門チーフー現場職員・パートと言った具合に、仕入れや販売について横割の分担制が確立、売り場のチーフであっても市場や生産地のこと、相場の変動のこと、料理や栄養価のことなどあまり知っていない。
間違ったことをしゃべるとストア全体のイメージが傷つく・・・との思いから、テレビや新聞の取材を「本部の許可なき場合」は受け付けない。対話面で一般スーパーは「冷たさ」を感じるのは私だけではないはず。アキダイの強さは消費者やマスコミに積極的に情報を開示し、顧客の信頼を得ていることではないか。またこと青果については生産動向・市場動向に通じているから、「今なら買い進む」「今は仕入れを手控える」といった知識を持っているため、こと青果については一般スーパーに比し常時安く売る体質を持ち、これもまた繁盛に結びついているように思う。
(写真:私も撮影してきたがメモリーに転写する際に消え、HP掲載の写真を拝借)