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2021年7月17日土曜日

加治丘陵や茶畑の観光価値はー入間市政チェック①

  新市長の杉島理一郎氏は、就任時38才という若さである。小さいころはバイオリンやピアノ、野球に親しみ、早稲田大学政治経済学部を出て、松下政経塾でも学び、東日本大震災の被災地支援やアメリカの長期視察も経験、その後県議も2期務めた・・・申し分ない素質と経験の持ち主だと思う。ぜひ頑張って希望あふれる入間市にしていただきたい。 

1.英文字が目立ち内容理解できない

市のHPに出ている「来てよし、住んでよし、働いてよし…の街:入間を目指す公約集「入間市RISE UP宣言」が出ている。「6分野30本の政策宣言十9本の条例宣言+3つの行動宣言」と計41の宣言が記されている。今後の市政の根幹をなす改革案と考え、意見をのべてみたい。宣言には横文字が多く、その注釈がほとんど出ていない。市職員でも50%、一般市民となると80%近くが、正確な内容をつかめないはず。RISE UP は「奮起」とか「立ち上がる」の意味だが、「入間市奮起宣言」でなぜいけないのか・・・まずこの点がひっかかる。 

41の宣言に含まれる英文字は・・・デジタル未来都市:AIIOTを活用した地域課題の解決:入間版CDC:入間版FEMA:入間ゲートウエイ構想:クラウドファンティングの推進:シティセールス:ケアラーの支援:ノーマライゼーション:GIGAスクール構想:SDGsを活かしたまちづくり:リバースメンター制度・・・以上については最後尾に英文字と注釈を紹介するが、内容が推察できる人が何人いるか。 

2.人口対策がほとんど無し

そして宣言をもとに,「市民他の衆知を集め難局を乗り越えていく」としているが、あまりにも多くの分野について改革を予定し、宣言や条例づくりに時間を要するだけでなく、予算や人材不足に陥り、総花過ぎて逆効果が出そうに思えてならない。「今まで何をしてきたのか」という疑問も残る。また限られた予算の中で、何を重点にして行けば一番市民に喜びと誇りを与え、市が健全に機能するか・・・という視点が抜けている。横文字多用も、「他市に遅れない平均点な政策の推進」と思えてならない。入間市としての個性はどこに?である。 

前の田中稔市長も、杉島市長も、「人口減少は自然の趨勢で避けて通れない」と姿勢が見てとれる。ために人口増についての施策が宣言24の「子育てパパ・ママの負担軽減」くらいしか見当たらない。これでは税収減→縮小均衡のくり返しになる。人口増加の市町村の共通項は「通勤や通学の便利さ」となっている。人口がさらに減少すれば学校や公共施設の統合などを先々またやる必要が出てくる。人口対策は日本全体の浮沈に関する重要問題であり、「人間いかに生きるのが幸福か。結婚、出産、子育て、家族団らん、親・子・孫と互いに支え合うことの喜び、孤独死のむなしさ」・・・こうした問いかけからスタートし、例えば待機児童のゼロ目標、工業団地における企業経営の保育園増設(県の補助あり),児童手当の市独自の上乗せ、出生祝い金の支給、市へ流入する世帯への奨励金、男女交際・結婚促進の多様なイベント充実・・・などを考えてもらいたいものだ。  

同時に、特殊出生率、人口増加、幸福度等が各日本一の市町村に市職員を派遣し、大いに学ぶ必要がある。息子は神戸市のはずれに住んでいた。住宅団地の多いニュータウンであったが、子供は2~3人は当たり前、息。子夫婦も3人の子を設けた。市の雰囲気づくりで、子育ても変わるはずだ。「子育て環境日本一」といったことになれば視察者も増え、観光面でも成功を収めることになる。 

人口増加策の原資は、宣言42項目の不適正項目のカットや建築・土木関係投資のムダ削減で得るべきだ。例えば、16号線と入間市駅方向に通じる299号線の交差点では、完成図も示さないまま、霞川の護岸工事他が長期にわたり進んでいる。また所沢への近道の463号線の武蔵藤沢近くでは道路の拡幅工事が進んでいるが、所沢から来ることはできるものの、所沢に向かうことができない状況が長く続いている。こちらも完成図が無い。商圏が分断され、武蔵藤沢駅寄りの商店は多大の損失を受けているはず。 

市側の経費負担があるか無いかは不明だが、工事の休みの日も多く、工事の長期化で膨大な無駄な予算が使われているはず。また、仏子の中橋が立派になったが、左右の歩道が各1mカットしてもさほど通行に支障があるとは思えない。「左右2mで何億円も浮いたはずで、これを子育てに回していれば、どれだけよろこばれたか」と思う毎日である。 

3.ゲートウエイ構想とはなんぞや?

 今回は観光資源とされる加治丘陵や、茶畑に近い仏子に住んでいるため、優れた自然環境をいかに生かすか、といった環境・観光政策を中心に、意見を述べたいと思う。(市の)宣言11に「入間ゲートウエイ構想による観光戦略」とある。「入間市は地域資源と都心に近い立地環境を生かし、市の新たな魅力を作るため、入間ゲートウエイ構想による観光戦略を推進します。具体的には入間インター周辺の渋滞対策と観光PRを実施し、入間市5駅の魅力アップによる新たな賑わいを創造。加治丘陵や入間川などの自然環境や既存の文化的、伝統的な地域資源がいまは観光資源として十分に活用されておらず、これ等を積極的に活用して新たな魅力づくりに着手する。

5駅の賑わいの創造

   仏子駅は加治丘陵、入間川の自然への入口と位置づけ、観光ルートを整備。

   元加治駅は阿須・あけぼの公園へのアクセスの利便性向上を考え南口を設ける。

   金子駅は広大な茶畑の入口と位置づけ、観光ルートを整備。

入間市駅、武蔵藤沢駅については記述なし。 

「ゲートウエイ」についての説明がないが、これは「相性の悪いネットワーク間を上手につないでくれる機器やソフト」ということのようだ。つまり上記の観光資源を各種のネットワークで宣伝されているものを、統合した形で見れるようにし、宣伝効果を高める・・・と理解するが、宣伝手段と観光資源開発の問題がごっちゃになった用語で正確さを欠くのではないか。ゲート=地域の門に当たる駅。ウエー=道。組み合わせて駅と観光道路の整備を・・・と理解する人もいるはず。 

4.いまは金になる観光資源がない

  この構想の後半には「入間市は都心から近かい恵まれた立地環境にあり。市外から訪れる人の通過型観光になり、地域に金が落ちない」と言う現実が書かれている。まったくそのとりで、入間市の施設で金を落としてもらっているのは、三井アウトレットモールとジョンソンタウンくらいと言えるだろう。観光とイベントは表裏一体だが、万燈祭り、黒須町の茶祭り、入間川の花火大会にしても、外部の出店業者から5,000円?とかの出店料を取り運営費の穴埋めにして助かっているが、主に外の業者には金が落ち、地元商店や商店街にはほとんど恩恵が及んでいないように思う。

 写真① 釈迦の涅槃像にも似た加治丘陵 

  加治丘陵や入間川河原めぐり、茶畑めぐりにしても、半日­=せいぜい4時間以内で回れれ、遠くから来るにしてもリックに弁当、飲料、菓子を詰めてくれば、一部忘れたものを駅近くのコンビニで買う程度。逆にトイレを拝借したり、ゴミを捨てて帰る人もいて、地元の負担増が生じるのが実態である。 

5.金になる仕組みつくりに全力を

 金子地区の広大な茶畑、加治丘陵や桜台展望台、桜並木もある入間川・・・こうしたものが、ただちに収入を生む観光資源と考えるのが間違いである。むしろ第一ステップでは、「市民や市外の人に、景観探訪や健康増進のため、散歩やハイキングに来てもらう」という 軽い気持ちで、投資を軽微で済ますべきだと思う。 そもそも観光地とはなにか。観光資源の特異性が高く、遠くからも行く価値がある。となると記念のために「何か土産を」、お弁当だけでは足りず「飲食店に入る」、今日中に帰れないので「旅館に泊まる」といった具合で土産屋、飲食店、旅館が集積し、多方面で金が落ちる場所といえる。

 今の入間は、資源としながらも、実態は最低のPRもされていない。仏子駅構内に加治丘陵の桜台展望台や茶畑に至る説明板もなければ、南口を出て展望台や茶畑に至る途中途中の矢印表示板もない。これは金子駅から茶畑に至る道についても同様である。構想では「観光ルートを作る」の言葉もあるが、自然観察や環境保全を考えれば、いまさらきれいな駅や道路を作る必要もない。50人や100人が縦に連なって歩ける道はすでにあるのだ。実際に観光事業として儲けを生むようにするには、滞在型の茶業、林業、農業体験教室などを丁寧に実施し、もっともっと来訪者や地元のメリットを追求する仕組みが必要だ。

 現に農業回帰の若者が増えているなかで、宮寺地区に「ぼくらの農園」というのがある。求人し雇用し研修をしてもらい、将来独立して農業をしたい人には土地を手配し、農業機械を貸出し、販売ルートも紹介する」というものだ。こうしたシステムであれば雇用も生まれ地元の消費が増加、耕作放棄地の解消にも貢献し、地元所得も増える。直売所もやれば利便性も増し、人も金も集まり「三方良し」である。 

6.加治丘陵と茶畑の一体観光開発

  一般畑作なら、上記の好循環体系が可能だが、茶業経営となると実習希望者が得にくく、アイデアが浮かばない。茶業者が集まり、広大な茶畑の景観を見に来てもらうだけではなく、将来地元に貢献する仕組み作りについて話し合いを持つべきだ。仕組みができれば、加治丘陵に来た人たちに金子側に下ってもらい茶畑も見てもらい、お茶中心の直売所を設け、ここで買い物をしてもらえる。野菜農家の拡大策も必要になる。金子側からバスや電車で帰るハイキングコースも確立できる。

写真⓶ 金子の見渡す限りの茶畑 

また茶業試験所―博物館アリットと足を延ばしてもらえば、アリットでは茶業の展示や各種イベントもあり、茶業全体の理解も進む。アリット近くには大規模ハウス4棟で自家製の花苗や仕入れ苗を扱う、立派な「大の園芸」というのもある。沢山の食品工場もあり、これらも見学コースも付加し、アリットからバスで最寄り駅へ出て帰ってもらうことも考えられる。コース案内1人1,000円とし、「銭の取れる観光案内コースを創る」といった目標設定も時に必要である。 料金を取るとなれば、当然「語り部」と言えるガイドが必要になる。沢山の地元資料も渡し勉強をしてもらう代わり、最低3時間コース1回5,000円、5時間コース8,000円位の報酬を見込む必要もある・・・この程度であれば有償ボランティアと理解すべきだ。

加治丘陵については、市がログハウス等を建てるなどし、公募して林業希望む者数人に入植してもらい、既存の林業ボランティアの助けも借り、林地の管理をしつつシイタケ栽培、木材加工(積み木や置物)、アウトドア生活を組み合わせる。山遊びの遊具も揃え、貸しテントを多数用意し、最低1日、最大7日間くらいの滞在型の体験教室も開く(ただし雷雨などの際、地元集落に避難できる配慮が必要)。今の子供さんに求められているのは自立心の育成である。親御さんも潜在的に「子の自立」のニーズを持っているはず。安全確保に充分配慮し、1泊千円といった料金収入を得れば、林産加工品の販売もあわせ、自立した拠点づくりも可能である。毎日相当数が山道をジョッキングしており、喫茶つきの休憩場があれば山歩き客を合わせた人的交流にも役立つ。 

7.サイボクや川越の賑わいを知る

要は、目先の観光収入を目指すのでなく、長く見て地元の発展に寄与するアイデアの実行が大切なのだ。埼玉の観光地として成功しているのが日高のサイボクハムであり、小江戸といわれる川越市であるが、これらは長年の艱難辛苦とアイデアがあって出来上がったものだ。 

サイボクのばあい、戦地から引き揚げてきた笹崎辰雄氏(故人)が、昭和21年9月から広大な荒れ地を開墾、日本一優れた豚肉を生産するため外国からランドレース、ハンプシャー、デュロックなどの品種を入れ、ヨークシャー種に掛け合わせ三元豚の美味な肉・・・ゴールデンポーク、スーパーゴールデンポークを生み出した。これをハムやソウセージに加工、加工肉の本場ドイツの品評会で数々の金銀銅賞(相当前で753個)を受賞してきた。豚や牛の生産拠点を地方に移し、広大な用地が浮いた。この広い敷地を利用しレストラン、スーパー、ファーストフード・コート、農産物直売所、ミニゴルフ場、遊園地、豚の広場、天然温泉・・・とレジャーランド化もできたのだ。私は前から「いまは切り話されているが、背景にある広い豚や牛の放牧場を撮影し、これをボタン1つで放映する施設があれば、画龍点睛になるのだが」と言い続けているが、その気配がないのが残念である。 

川越にしても、京都や奈良のように1000年以上の古い歴史の街ではない。1893年(明治26年)の大火で17町が消失。焼け残ったのが蔵造りの家で、大火後コストはかかるが競って蔵造りにした。したがって蔵造りの町並みは138年の歴史。戦後の復興期には「かっこうが悪い」と一時はパラッペットで蔵造りの上部を隠していたそうだ。だが1983年(昭和58年)になり、市街地の活性化をはかりたいと商店会のひとだけでなく、住民、建築家、街づくりの専門家、県や市の職員も加わって「川越蔵の会」が発足、2002年(平成19年)12月にNPO法人化に進んだ。いまでも200人ほどが参加している。街並み全体の蔵造り、さらに電柱・電線の地中化で歩きやすく、買いやすい街づくりにも進んだのだ。今は幸福度が日本一の都市に選出されている。 

  時間と多数の人々の頭脳と努力があって、初めて繁盛観光地になることを知る必要がある。入間市の基本構想の観光編は、市の思いつきが先行し、現場の実態がつかまれていないのではないか。一つの個性として「子供さんの農・林業・環境の体験教室日本一」といった挑戦も選択肢である。

(補筆予定)観光と密接不可分な下記を扱う

 アンテナショップ開設の問題

 プロスポーツチーム誘致の問題

英文字の注釈

デジタル未来都市:コンピューターですべて制御された人に優しく過ごしやす都市。

AIIOTを活用した地域課題の解決:Antificai Intelligenceinternet of Things Lotが収集したデターをAIが分析して、何らかの有用な情報や価値を生み出す。

入間版CDCCenter for Disease Contorol 疫病対策センター。

入間版FEMAFederal Emergency Management Agency アメリカの連邦緊急事態管理庁。

入間ゲートウエイ構想:gateway 通信手段の異なる2者間を中継する機器とかソフト。

クラウドファンティングの推進:Crowdfunding インターネット等で、やりたいことを紹介。賛同者から資金を集める。

シティセールス: City Promotion 市の魅力を育て発信し、支持者を得る。

ケアラーの支援:carer 介護や看護、療育が必要な人を、無償でサービスにあたる家族や近親者。

ノーマライゼーション:Normalization 障害者等の社会的弱者が、一般の人と同じにせいかつできる社会。

GIGAスクール構想:Global and innovation Gateway for All 義務教育を受ける児童1人に1台の学習用PCや高速ネットワーク環境を整備。個性に合わせた学習。

SDGsを活かしたまちづくり:Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標。

リバースメンター制度;reversementring method 若手がベテランを指導する制度

2021年7月5日月曜日

哲人・サイボクハムの笹崎会長(故人)に学ぶ

 農業版のデズニーランドを目指す埼玉県日高市のサイボクハム・・・正式名称(㈱埼玉種畜牧場の会長・笹崎龍雄氏が平成24年10月25日にし他界された(96才)。・・・本稿は近藤の別のブログ「農業・商業お助けマン」に2013年1月13日に書いたものである。仏子に近いので、こちらのブログに移し変えた次第である。



(写真)故・笹崎龍雄会長 著書「わが輩は豚であるⅡ」より 

 故人は農工大の大先輩であり、友人や当方がかつて雇った助手も、牧場に勤め、お世話になった。当方が直接お会いしたのは今から7年前だ。「食品業界研究会」という会の仲間10人ほどで訪問したのだが、事前に「後輩であり、環境問題のHPも開設しています」と手紙を出したところ、当時89才という高齢をおして、自ら1時間ほどの講演をしてくれた。「理想を高く設定し、オンリーワンを目指す。そうすれば多くの人に支持され、競争の圏外に立ち、繁栄も可能になる」というのが話の中心だったように思う。

 帰りには著書「生活革命」(ビジネス社)を購入した全員に、サインをしてくれた。「わが輩は豚であるⅡ」という著書を余分にいただいた。その後、年賀状を交換したものの、直接お会いしたのは別途2回だけ。だが、自宅から車で15分と近いため、たびたび勉強がてら訪ねてきた。

 故・笹崎会長はたぐい稀な実践的経営者であり、同時に「学識豊かで、かつ優れた思想を持つ哲人」であったと思う。講演の際も「他人に頼らず、総て自力で今日を築いた」と言われたが、畜産だけにとどまらず、中国の古典、儒教や仏教の教えをはじめとした多くの本を読まれ、総知・総力をもって、人間が求める究極の楽園を実現しようと努力された方だと思う。これは「生活革命」に先立つ著書「楽農革命」も併せて読むと分かる。前者の11章には「私の座右の銘」として孔孟の教えにもとずく貴重な4文字熟語が多数収録されている。

 「農業の6次産業化」という言葉すらない時代に、食肉加工ーそのミートショップー農産物直売所ーレストランという付加価値販売を手がけてきた。「1次、2次、3次の際崩しをし、4次産業を創造する」という表現が印象的である。

 そして①ミートピア、②アグリトピア、③ライフピアと進化させ、農業のユートピア作りを埼玉の一隅と、宮城、埼玉県鳩山町、山梨県の3牧場を背景としてで実現してきたのである。これは豊かな楽農文化、美味しい食文化、楽しい生活文化の統一を意味する。改めて、故人の足跡とライフピアの現状を紹介したい。
 
 1.その歴史と栄光
    故・笹崎会長は復員後の昭和21年9月に「武蔵野エリア」の現在地にサイボクを創立、当初は牛、豚、鶏の品種改良の総合基地だった。昭和36~51年にかけイギリスやアメリカからランドレース、ハンプシャー、デュロックなどの豚の原種豚を入れ、日本における豚の品種改良をリードしてきた。農林水産大臣賞や多数の県知事賞も受賞している。

  改良の頂点近くにあるのが美味な「サイボク・ゴールデンポーク」である。黒豚もを交えた最高品質で、ロース肉100gが470円で直営ミートショップで販売されている。しかもこれまでに、全国に向け優れた種豚12万頭以上を供給し、実習生も気楽に引きうけ、養豚関係の実務指導者を2,000人以上も国内外に送り出している。

  故・笹崎会長は16冊以上の著書を書いているが、「実地経営・養豚大成」(養賢堂)は、再版50余回を重ね初版から40年に及ぶバイブル的なロングセラーとなり、中国でも翻訳されている。

  オンリーワンを目指す「本物志向」とは、上記の改良しつくされた美味でヘルシーなゴールデンポークそのものと、これを原料とした無添加・無着色で製造したハム・ソーセージなどの肉加工品、惣菜を意味する。ハム・ソーセージの本場ドイツのDLG(ドイツ農業協会)国際コンテストほかでハム・ソーセージ、調理食品で獲得した金メタルは平成24年3月現在で753個に及ぶ。このほか調理人としてのメタルも獲得している。ドイツでは「肉生産からスタートして、良品作りをしているのがすごい」と称賛を受け、毎回客員審査員を送り出しているほど。 
(写真)カフェテリアが
ズラリと並ぶ
 
(写真)ステーキやバーベキューの大規模レストラン

 オンリーワンは①他にない優れた商品、②他に見られぬ生産―加工―販売―消費を一体化、③さらに他にない「やすらぎ」や「いやし」という精神的潤いまで付加した生活空間の創造性・・・といった場面で発揮されている。

2.年385万人が利用

日高市の牧場は敷地3万8,000坪だが、「牧場」と名がつくものの、現在は多くの豚や牛にはお目にかかれない。豚の生産基地は日高市鳩山町、宮城県栗原市(黒毛和牛も飼育)、山梨県早川町に移され、そこで「ゴールデンポーク」「スーパー・ゴールデンポーク」という最高の肉質の豚が年3万頭ほか肉牛が生産されている。牧場の地方移転は、環境問題もあるし、人の出入りが多くなれば、伝染病にもかかる・・・という点でやむおえない処置だと思う。

    本部もある敷地には、豚肉の精肉やハム・ソーセージの加工場、直売スーパー、レストラン、カフェテリア、野菜・花・米を中心とした農産物販売所(地元生産者と提携)、天然温泉(これは泉質から防ぎきれないレジオネラ菌のため、24年末で閉鎖)、ミニ・ゴルフ場、やすらぎ広場などがあり、全国から集められた数百本の銘木、数千の銘石も配置され、日常性と憩いを兼ね備えた一大レジャー施設である。 

 900~1000台の駐車場があり、ほとんど宣伝をしていないのに、土・日曜には2~3万人、年385万人が訪れる・・・とされ、埼玉の川越市に次ぐともおもわれる賑わいスポットである。土日は押すな押すなの盛況で、駐車場や公園風広場のベンチの空きを探すのにも苦労する。肉、加工肉、パン、PBブランドの調味料、野菜、米、茶、花、ファースト・フードなど日常性も高いものを販売しているため、ほとんどがリピーターであり、観光気分で記念写真を撮っている人は皆無である。

3.農産物販売所ゾーン

野菜や花の農産物直売所=昭和50年に「高萩生産者直売場」として開設されたが、販売が追いつかなくなり、平成11年に「楽農ひろば」として拡大改装、現在は実測によれば売り場178坪、レジ6台。レジ台数から推定すると年9億円ほどか?

 周辺には①米屋専門店、②果物店専門店、③狭山茶販売店が配置され、広場やひょうたん池もあり、ジャンボなフランクフルト150円やスペアリブ350円のバベキューが売られている日もある。15キロ詰めの特製「豚糞堆肥」も売られている。   (写真)「楽農ひろば」

 

  直売所は牧場で作った堆肥を供給し、良質の野菜を供給してもらうため、65戸の生産農家「楽心友会」を組織し、運営に当たっている。農薬、化学肥料を半分に抑えた県認証の「元気満彩」シールの貼られた特殊栽培品もある。最近見たところ、ホウレンソウ1束190円、ニンジン1袋90~110円、長いも1袋330円、ジャガイモ1袋160円、サツマイモ安納1袋260円、ネギ1束170円の6品が置かれていた。レストラン等の野菜も、この直売所から総て調達している。

 90×180cmの平台換算にして、壁面まで入れ58台分もあり、半分は地元生産者の野菜、半分は仕入れ品で、品ぞろえは豊富。1月の例だと壁面2段台のネギ、ダイコン、ニンジンなどは各9人が出荷し、2尺ずつ上下、上下と使って陳列しているほど大量販売している(1品18尺)。ホウレンソウ、コマツナも各5人ほどで各6尺の陳列。13%ほどの委託手数料と聞いている。

4.レジャー・ゾーン
 
   レジャーゾーンは①陶芸教室、②パークゴルフ、③やすらぎ広場、④豚が数頭のみいるトントンハウス+アスレチック(子供さん対象の広場)からなる。パークゴルフ場は1本のクラブでプレーするミニ・ゴルフ場。36ホールあるが、将来はさらに拡大の予定。毎月サイボクPG大会も開催されて100人以上が参加している。

 もともと牧場跡地であり敷地は広いが、ミニ・ゴルフ場ややすらぎ広場を除くと、比較的狭い200mほどの範囲にコンパクトに施設が配置されている。農、食、文化、やすらぎが融和したライフピア構想のためには、もう少し広がりが欲しいように思っている。

 つまり農業体験できる畑やハウスもある。山羊や羊、兎、鳥類といった小動物と触れ合える牧場もある。そして豚や牛は直接触れることがなくても、小型のシネマ館で、スクリーンを通し飼育ぶりが分かる・・・こんな舞台を、子供さんのためにも、自然派の大人のためにも、ぜひ実現して欲しいと願う1人だ。

   改めて「生活革命=ライフピア」の著を見ていたら、故・笹崎会長自身、上記のような姿を「今後広い敷地のなかで追求したい」と書いてあった。意見が一致していて、嬉しい限りである。

2021年7月3日土曜日

埼玉県の幸福度は29位-所得だけが総てではない!

 

 毎年、株・ブランド総合研究所というところが、各県340人ほどを対象に選,び、幸福度ほかの調査をし結果を公表している。ここに紹介する幸福度は2020年春のものだが、すでに2021年春のものも一部ネットに紹介されている。なお「あなたは幸福ですか」の回答を5段階に評価し、整理した結果である。 

 コロナ禍の影響が出ている昨年6月の調査だが、どこも同じようにその圧迫を感じており、極端に各県の幸福度に影響は与えないはず・・・と考え表の数字を見て欲しい。またどういう採点をするのか不明だが、最高点の宮崎県の74.0点に対し、最低点の秋田県は61.1点で、その差は12.9点で大幅な差があるわけでもない。だから抜きつ抜かれつで、1年で26位から6位に順位を上げた鳥取県のようなところもある。

 特徴は上位15位までに、沖縄や長崎を除く九州6県の西南暖地に属する県が多数入っている。世帯年収の2020年ランキングからすると、沖縄は47位、宮崎45位、鹿児島44位、大分39位、福岡38位、佐賀34位、熊本33位で低い県である。幸福度と所得の高さはあまり関係がないことが分かる。ただし気候が温暖なため、光熱費の圧迫が少なく経済的に楽なこともあり、気分も開放的で近所付き合いも活発になり、毎日が楽しいといった姿になるのでは。 

 15位までに福井、石川、鳥取、冨山の北陸・山陰の4県も入っている。こちらは逆に1世帯所得は福井2位、冨山6位、石川8位、鳥取18位と所得は上位。

   北陸3県については共働き主婦が37.1~42.6%(全国平均28.1%)と高く、農家の総所得も突出して高い。女性や農家の別なく働く場があり、経済的なゆとりと男女平等に近い職業人であることが幸福度を支えているのではないか。 

 幸福度についての全国83都市の調査では、川越市が1番となっている。歴史の遺産をみんなで再構築し(電線も地中化)、観光地として成功した誇り、そして高い所得を得ていることが幸福度を押し上げたといえそうだ。なお埼玉県の幸福度ランクは29位で、1世帯所得の方は10位である。 

写真:川越の蔵造りの町並み

 最後になるが、幸福度について心理学の分野の第1人者エド・ディナー氏は「生活に満足し、喜び感ずることが多く、悲しみや怒りと言った嫌な感情あまり感じいならば、その人は幸福度高い。反対に生活に不満があり、喜びや愛情をほとんど感じず、怒りや不安のような嫌な感情を抱くことが多いならば、その人の幸福度はひくい」としている。