写真①上橋上流部の河川敷は流木他で一杯
写真②中橋から上橋に至る遊歩道から見た流木
問題は上流部の名栗川や成木川の水源地となる山々には、樹齢50年を超えるスギ、ヒノキが沢山育ち、間引かれて切り倒された木がそこら中に転がったままになっていることだ。山は急峻で、大雨が降れば間伐木や地表にたまっている森林ゴミ(木の枝、竹、笹等)が川に向かって落ち、流れくだる。林野に携わる林業家や農家も高齢化し、作業する人がいないことも大きな理由である。山から切り出すにはトラックの通れる林道が必要だが、青梅や秩父の山は急峻でこの林道が整備されていない、ここにも問題がある。
筆者は平成15年に環境小説ともいうべき「成木川の早太郎」を発刊し、間伐材の林地捨て置き問題を世に問うた(本はすでに絶版のため、別途このブログで紹介予定)。地元の青梅市役所にも本を差し上げた。このとき一時的に左右の端に数本づつ杭を打ち、この杭に横倒しの間伐材を6~8本ずつ?横置きして引掛けるようにしていた。最近確認すると、写真③のように立木に伐採した木を引っかけるようになっていた。これも一つの流木防止になるが、森林の広さをからするとごく一部ではないか。
写真③④成木川の上流の荒れた林地
写真③④成木川の上流の荒れた林地
皆さんも大型台風のあと、ダム湖の表面を流木が覆った写真を新聞やテレビで見たことがあるはず。これを除くとなると膨大な労力と金がかかる。
流木の問題は、まさに日本の林業問題でもある。戦後の復興期に沢山の木を伐り、はげ山も生まれ、昭和30年代にはこれを回復するためスギ、ヒノキの植林が奨励された。お陰で日本は今も国土の68.5%が森林面積。これは世界17位のレベル。先進国で日本より上位にあるのは10位のフインランド、16位のスエ―デンだけである。森林は沢山の炭酸ガスを吸収するし、水を貯え豊富な灌漑水や飲み水を提供してくれ、すこぶるありがたい存在。おそらく日本ほど水道料金が安く、水を自由に使える国はないのでは。
だが困るのは、木材資源としての森林である。安い輸入木材が増えたり、集成材やコンクリート建築が増え、どちらかと言えばヤワなスギ材の需要は低迷(最近はやや伸びている)。国産木材の価格は低迷してきた。このため日本の森林は切るに切れず伸び放題。途中陽当たりをよくするため1部の木を間伐するが、間伐材は値も安く運び出す労力費が出ず、間伐木は林地に大量に捨て置かれているのだ。
少しでも木材価額を安くし、輸入木材と競争できるよう農水省では50ha、100haを持つ地つきの大型林業者を育てる一方、委託を受け樹木の伐採、道路づくり、運搬を大型重機で行う林業企業体の育成をいま推進している。
市民としてできることは、①地元産木材の良さも認識し(地元の木材を使えば、気候風土に適した家ができる)国産材を大いに使う、②森林体験や林地で遊べる場を林業者とともに作りるとか、木工品(置物や椅子など)を造るとか、③シイタケ栽培をするとかし林業者のプラス・アルファーの所得向上を促す、④バイオマス発電で地域の電力をまかなう(欠点は木材の持つ熱量の20%ほどしか利用できないこと)。⑤ボランティアとして流木などのかたずけをする・・・ことが必要ではないか。そうしないと、いずれもともっと荒れた入間川の河原になってしまう。実際は一刻も猶予できないほど森林は荒れているのだ。
仏子や飯能エリアの入間川を所管するのは、埼玉県飯能県土整備事務所河川砂防担当・・・という長い長い名前のお役所だ。電話で改善策があるか否かを聞いたが、「美観面の対応策を取ることは、仕事に含まれていない」と言う。流木対策を考える部局はないことになる、土砂同様、流木が土手や橋を壊す例が各地で起きている。流木が橋に引っ掛かり、流れを止め水害を起こす例もある。流木を流砂と似たものとして扱う必要があるのではないか。
なお私は2003年に小説「成木川の早太郎」(魚のハヤの世界を擬人化し、間伐材の放棄問題の提言)を執筆。静岡県の教育委員会の推薦図書に。入間市中央図書館に寄贈本1冊あり。
仏子や飯能エリアの入間川を所管するのは、埼玉県飯能県土整備事務所河川砂防担当・・・という長い長い名前のお役所だ。電話で改善策があるか否かを聞いたが、「美観面の対応策を取ることは、仕事に含まれていない」と言う。流木対策を考える部局はないことになる、土砂同様、流木が土手や橋を壊す例が各地で起きている。流木が橋に引っ掛かり、流れを止め水害を起こす例もある。流木を流砂と似たものとして扱う必要があるのではないか。
なお私は2003年に小説「成木川の早太郎」(魚のハヤの世界を擬人化し、間伐材の放棄問題の提言)を執筆。静岡県の教育委員会の推薦図書に。入間市中央図書館に寄贈本1冊あり。
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