衆議院選挙が終わり、自民党の岸田内閣も発足した。この選挙で、どのくらいの人が投票に行ったのだろうか。入間市のばあい小選挙区の結果は、期日前投票や不在投票まで入れ(海外除く)54.59%となっている。地区別の期日前・不在率が分からないので、これはどの地区も同率として、仏子小学校と野田中学校の修正投票率を出すと、仏子小60.77%、野田中59.82%となる。市の平均より約5%高い部類で、少しだけホッとした。
今回、全国平均の小選挙区投票理知は55.93%である。昭和21~42年の戦後復興期は70%台。昭和47~平成5年は60%台。平成6~平成29年は50%台・・・と階段を降りるかのごとく投票率はガクン・ガクンと低下してきたのだ。どうも経済循環などとは一致していない。学校教育とか家庭教育の変化の影響が大きいと思う。戦後は苦しく、与えられた民主主義だったが、多くの人が苦しさからぬけだすため、政治への関心が強かった。高度成長期にはいり所得が伸びるなか、政治は他人任せでも「どうにか生活は安泰」という機運になり、親は労働組合にも入らず、職場や家庭で政治のことを語らなくなった。親は親、子供は子供の遊びの世界が増えた。親子断絶が進み、こんななかでリーマンショック。その後は成長なき時代で非正規雇用も進み、職場内断絶も進んだ。政治・経済の恩恵を受けない非正規な人は続々と選挙時の無投票層に代わっていったように思う。
図は前回の衆議院選挙の年齢別投票率
無投票がいまや最大勢力で、「無投票!みんなで渡れば怖くない」とさらに投票率が下がっていくのが怖い。「仲間も投票に行かないのだから、俺も行かなくても恥ずかしくない」と思う人がますます増える。しかも表のとおり、無投票者は若い人ほど多い。やがて1人の勤労人員が1人の非勤労人員を支える国になるというのに、今の30代以下の層は45%以下しか投票に行っていないのだ。18~19才は例外として20~24才の層の投票率は実に31%だ。「三割民主主義」になれば、ベラルーシュやブラジル、フィリピンのような独裁国家が生まれてもおかしくない。家庭内においても、親子が友達のようなフランクな付き合いをし、ざっくばらんに生きざまを見せ合い、様々な話が出来るような雰囲気にしないと、政治的後進国から逃れられないのでは。
さらに紹介しておくと日本の国政選挙の投票率は、世界191ケ国のなかの145番目で53.68%(今回選挙と類似)である。もっとも同盟国とされる米韓を見ると韓国は131番目で58.03%、アメリカは134番目で56.84%だ。先進国のなかでは共にきわめて悪い部類である。たとえばオーストラリア91.89%、ベルギー88.38%、スウェーデン67.16%、デンマーク84.60%、ノールウエー78.22%、ドイツ76.15%、オーストリア75.59%、イタリア72.93%、スペイン71.76%、フィンランド68.73%、カナダ67.65%、イギリス67.55%と、日本よりいずれも15%以上高い。文化・経済・工業レベルの違いよりは、国民性が大きく関与しているように思う。
日本人の国民性に通じる言葉・・・和をもって尊しとする 長い者にはまかれろ 出る釘は打たれる・・・この結果、本音を語り合わない、政治の議論は極力避けるで、政治への理解が欠如し、投票に行く人でも「良く分からないが、義務的に投票する」という姿の人も多いのではないか。 革新を名乗る立憲民主党ほかにしても、地域での日常活動がゼロであり、政党ニュースは流れて来ないし、議会報告会もない。これでは庶民が政治音痴になるのを手助けする政党・・・と批判されて当然であある。