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2018年9月4日火曜日

加藤ファーム(入間市二本木)ー有機農法・手作り味噌

1.穀類中心の大規模経営
 広義の入間市金子地区には、お茶、大豆・小麦などの分野で無農薬有機農業を推進する優れた農業者がいる。二本木1136の有限会社「加藤ファーム」もその一つで、入間市では珍しい畑作15haという大規模経営である。日本の農家の平均規模は1.8haだ。ダイズ9.5ha、ソバ2ha、ナタネ2.2ha、このほか小麦、ゴマ、野菜、茶なども栽培している(かなり前の聞き取り結果)。

 以前は加藤博司氏が代表、今は息子さんの秀樹さんが代表で、無農薬で栽培した大豆・小麦を使い味噌作りをし、味噌作りの教室まで開いている。25年まえに養豚経営から主穀経営に転換したわけだが、「コアラのためユーカリを無農薬で作ってくれ」との依頼がきっかけで、自然にも負担を掛けない農無農薬有機栽培を続けてきた。実際は「自然農法」と呼ぶのがふさわしい農法である。「雑草や収穫物の残差も土壌に鋤き込み土壌細菌の働きで肥料として有効化する自然農法に有機栽培」という。この説明については後半の紹介しておいた。規模が大きく、省力体系の無農薬・無化学肥料栽培でないとやっていけない。ここに自然農法への接近理由がある。

2.自ら製品化し多種の商品を販売
 経営の大きな特徴は自家で各種商品の製品化をし、通販や直売所でも販売していることだ。製品を買おうと思えば日高のサイボクハムの農産物直売所に行くのが早道だ。
   


 







(写真左)サイボクハムにある穀類コーナー (右)冷ケース内の味噌コーナー

 末端小売価格(サイボクハム)

品目
容量
価格(税前)
ごま糀みそ
300g
650円
丸大豆みそ
500g
680円
 同上
750g
980円
手づくり味噌
500g
680円
金ゴマ
80g
398円
大豆(上)
500g
600円
そば美人(粉)
500g
980円
そばの実
150g
450円
うどん用地粉
800g
600円
ナタネ油
105g
400円
 同上
540g
,400円
万一、間違いがあればお許しください

味噌については特徴があり、「米より大豆の割合が高く、うまみがギューと詰まったもの」だそうで、年数回自宅工場を開放「味噌仕込み体験会」を開いている。希望者は電話で申し込むことをお勧めする。

「入間市の農業経営体は約490.うち300が茶業者。残りが穀物や野菜類の生産者。だがだれもが狭山茶を筆頭に入間農業の衰退しているーの共通認識を持っている。狭山茶ブランドの復興を中心に、地域農業を活性化しなければやがて市内農業は消滅してしまう」と、現代表者の加藤秀樹氏は云い、入間地区の持続性のある農業を目指し、Noteという組織を興し、4人の仲間とともにがんばっている。新しい農業者を育てる指導するとともに、ゴマの生産を伸ばし全国シェア10%以上にし、価格決定権を持つようにしたい・・・などの夢を実現すべく努力もしている。
住所:〒358-0015 入間市二本木1136-1 
電話:04-2934-4905


<参考―自然農法の解説>
1.浜の松はなぜ育つ!
 「砂浜の松(クロマツ)は養分がほとんどないよう土地なのに育つではないか」とか、「森林は肥料もやらず、スギやヒノキが育つではないか」といたことが、自然農法発想の原点例として語られることがある。 

 ネットを検索すれば出てくるが、松の根に菌根菌が入り込み、根菌という共生体を作っている。菌根菌はマツタケなどキノコの一種で、マメ科の根粒バクテリアと異なり、窒素の固定はしないが、宿主植物から光合成で作られた養分をもらう代わり、植物に対し土中から得た窒素やリン成分、水、病虫害に対する抵抗力、育ちやすい土壌環境・・・を与えるなどギブ・アンド・テイクの関係にある。 

菌根菌は、野菜や果樹など植物の多くのもの根にも菌根を作り共生体を作り、菌糸を広げ土中にネットワークを構築する。そして時としてこの菌糸に住みこむバクテリアが、窒素を固定化し、より多くの有機窒素体を宿主植物に供給することもあるようだ。 

以上の結果、「白砂青松」と言われるように、浜辺のクロマツは太陽光の豊かなところ、塩に強く潮風のふくところ、養分の少ないところーを好み立派に育つ。だからまったく土壌のないような、岩山の頂上にもクロマツはそびえ立つのだ。 

2.    2.雷や生物による窒素固定は肥料に匹敵 
ところで雷の放電でも窒素固定が行われ、排気ガスと合わせた全世界のアンモニア生成量は0.4億トンとされ、肥料用アンモニア(高温・高圧で生産)の全生産量1.4億トン、微生物が土中で生み出すアンモニアの全生成量分1.8億トン・・・これからすると、アンモニアの人口・自然合わせた供給総量は3.6億トンで、が11.1%、が38.9%、が50.0%である。だけでも無視できない割合だが、の土中で微生物が生み出すアンモニアまで加えれば、肥料のアンモニアと匹敵する50%になる。 

全部ではないが、野菜・果物を含む高等植物の80%は、菌根菌との共生体の菌根を根に持つ(菌根を作るか否かは土中の環境にも支配される)。そして環境が十分なら、菌根菌は菌糸ネートワークを土中に形成し、上記で生産されたアンモニア(リン酸も)の無機養分、水等を多く作物に運ぶ。 

ネットワークが十分機能すれば、上記の化学施肥への依存度を大幅に減らすことも可能になる。以上が化学肥料をやらない自然農法の妥当性科学的根拠にもつながる。 

ところで化学肥料を散布すると、土中の微生物も有機物を食料としているため、飢餓状態になり死滅する微生物がなくなれば、菌糸のメットワークが働かず、またバクテリアによる窒素固定も減り、窒素他の養分の吸収も減少し、植物や根の成長が衰える団粒構造も破壊され根も伸びないとなれば、土壌も固くなる植物や根の成長が弱まれば、病害虫が発生しやすくなる。 

化学農薬を散布すれば、病原菌だけでなく微生物も殺すので、病虫害への抵抗が弱まるさらに強い農薬をまくと、病原虫害への耐性がさらに強まる・・・いう悪循環になる。

 逆に無化学肥料・無化学農薬であれば、微生物による団粒構造も進み、根が深く広く張り、あまり耕さなくても健康な植物が育ち、病虫害の被害も少なく、収量も増える。

3.収量は決して減らない-ソバの例!

加藤ファームの先代社長は、「自然農法だと表土の下に白い菌糸が一杯に走っている」と言う。この白い菌糸こそが、先述の菌根菌のネットワークだと思う。 

加藤ファームでは、ソバを1.8ha栽培しているが、もちろん無農薬・無化学肥料である。あえて施肥と言えば、ソバとナタネを帯状に同時栽培し、ナタネ収穫時のこぼれ種を伸ばし翌春鋤きこみ、緑肥としていることだけである。 

ソバの収穫量は10a当たり100kgで、農水省H24年統計の73kgに比し大幅に多い。野菜は自家消費に近い生産なので比較数字はない。ソバはもともと施肥・防除の手間を要しない作物だが、埼玉の特別栽培基準では慣行栽培で防除が1回、窒素成分量施用量は10aに2kgである。この施用の手間及び資材の削減効果は計りしれない。




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