Ⅰ.雑草退治 H筆
1.早め早めに
芝生の除草は根気のいる作業です。しかし手作業でやったにしても、3.3㎡(1坪)の芝地の除草に要する時間は平均15分ほどに過ぎず、普通の家庭の8坪ほどの庭なら2時間も掛ければ作業はおわります。早朝の7~9時といった時間を選んで億劫がらずにやれば健康のためにも。精神のリフレッシュにも良いのではと思います。
次に、雑草がはえたら早めに抜き取ることです。雑草が伸び、花や穂をつけ、さらに実(穂)などをつけると、それだけ雑草の子孫が増えます。子孫を増やさないようにまだ根も浅く、抜き取りやすい時に抜くのが鉄則です。
まだ芝生の張りが充分でない場合、雑草の生え方がはげしくなるので、より早め早めに雑草を抜きます。そうすると芝生が優位に立ち、成育を促進します。
根が丈夫で抜きにくい雑草は、刃のついたへら(塗装用に使われるもの)を土中深く斜めに差し込み、根の大半を引き抜くようにします。テコ状の引抜機の何倍も能率があがります。最近は外来種の裏白父子草、裏白母子草などが、急激に生育領域をふやしています。地面に張り付いているので、この刃のついたヘラが特に有効です。
抜いた草は、スーパーの買物袋にその場で詰め、生ごみとして出します。そこらに置いておくと種や根をまき散らすことになるからです。
2.除草剤の利用も時に必要
芝生の雑草で最もしまつの悪いのがカタバミ、クローバー、チドメクサ、ダイカンドラ、スギナ、ヤブガラシなどの地下茎を通じても繁殖するものです。抜いただけでは繁殖が止まりません。特にカタバミのばあい1本から5つぐらいの花が咲き、シシトウの形に似た小さい実をつけ、実のなかには20粒以上の種があります。つまり1茎のカタバミが5×20=100粒の種をバラマキ、100倍にも広がる可能性があります。手で抜くだけでは対応できない場合に限り、除草剤を使います。
除草剤でも「芝に被害が出ず、その他の雑草を殺す選択性除草剤」を必ず使います。「非選択制の除草剤」が安いからといっても絶対に使用してはいけません。芝まで殺します。家庭向きの選択制除草剤としてはスプレー式の「芝生に使える除草剤―hccザイトロジアミンスプレー」「クローバー、チドメグサ、カタバミ、ヤブガラシ、スギナなどに有効」「900ml、18㎡用」と書かれた製品が最適です。ホームセンターで売られ、約1,080円前後です。
スプレー式なので、雑草を狙って噴霧し、広く噴霧しない。事後3日ほど晴天続きの日を選び、スプレーすれば2日ほどで茶色に刈れ、3日めに枯葉を除けば青々とした芝生だけになります。雨の日に出会うと薬液が流れ効果がなくなり、雨水とともに薬が流れ、他に害をもたらすおそれもあります。仮に目や肌に触れたりしたらすぐ洗い流します。住宅団地では、散布地には「除草剤散布―芝に触れないよう注意」の小看板を立てるようなことも必要です。ですが実際は極め安全です。なぜなら生理的に作用し炭素同化作用、呼吸作用、水分吸収作用などを抑えて枯らすので、殺虫剤や殺菌剤のような毒性の物質で相手を殺すわけではないからです。 H&M筆
Ⅱ.11~2月の管理
1.11月は除草不要
11月上旬に刈り止めをし、きれいに掃除をする。芝刈りをするので除草は不要。晴天が10日以上続けば水をやる。霜が降りるようになると、芝生は休眠する。
2.12~2月は草刈り不要
芝刈りは不要。芝生が褐色になると越年生雑草が目立つので除草する。
良く乾燥するので、晴天が2週間以上続けば水をやる。
霜柱のきついところでは、浮きあがるので芝を踏んで転圧する。
3.入間市で見かける多年生雑草
ハマスゲ、ヒメクグ?、カタバミ、ムラサキカタバミ、チドメクサ、シロツメクサ、ヨモギ、チガヤ、スギナ、タンポポ、イヌガラシ、ムラサキサヤゴケ、ニワゼキショウ、オオバコ。
4.1~2月の手入
(1)越年生雑草の除去
(2)よく乾燥するので、月に1~2回水をやる。
(3)霜柱のきついところでは、浮き上がった芝を踏んで転圧する。秋に植えたばかり
の芝は霜柱の被害を受けやすいので、そのつど足で踏みつけか、厚い板で芝をたたき、
芝を押し付ける。
Ⅲ.3月の管理
(1)越年生雑草はなるべく早く抜き取る。
(2)遅効性の肥料を元肥として施す。
(3)粘土分の少ない山砂に土壌改良剤を混合し、目土として撒く。
(4)枯葉や刈りカスを搔きカスを搔き集め処分する。
(5)除草フォークを使って穴をあけ、エアレーション効果をあげる。
(6)芝張や補植の適期。
Ⅳ.4~5月の管理
(1)3月に続き越年生雑草はなるべく早く抜き取る。
(2)3月に続き4月も遅効性肥料を元妃として施す。
(3)3月に続き目土を入れる。
(4)5月になると気温の上昇とともに夏草が良く生えるので、こまめに抜き取る。
(5)5月は、芝刈り後に凸凹の目立つくぼみがあれば修復する。
(6)4・5月は3月と同様に芝張りや補植の適期。
Ⅴ.5~6月の管理
(1)5月になると夏日に等しい気温になり、雑草が勢い良く伸び、花が咲き実ををつ
ける。種をつける前に刈ったり抜いたりしないと、次年度の雑草をふやすことになる。
(2)特に繁殖力の強く、完全駆除が望まれるのがカタバミである。目立つ黄色の花が
開くか、その前のうす黄色の蕾の段階に抜きとるか、除草剤での駆除することが将来の
省力につながる。
(3)なにせ、カタバミは平均5つほどの花を付け、これが小型の莢状の実になる。
最大12の花、莢をつけるものもある。1つの莢に30ケもの種が入っている。となる
と翌年最大360倍もに増える計算だ。とても手で抜いていて済むものではない。地下
茎まで完全に抜き取ることは不可能なのだ。
(4)前記 の芝用除草剤を使い、ひと茎別に狙いをつけ、スプレーを噴霧して退治す
ることをお勧めしたい。根まで根こそぎ3~4日で枯れ上がる。風のない晴天続きのタ
イミングを選ぶ必要がある。
(5)手で抜く場合は、雨天後の土が柔らかい日を選ぶと、抜きやすい。
Ⅵ.7月は裸地の芝生化に最適
(1)狭い裸地を芝生で覆うばあい、芝生を買ってきて植える方法もありますが、そうでなく土地を耕して、そこに有機粒剤肥料をまき、周囲の芝の地下茎、地上茎をのばす方法があります。芝生は雑草並に繁殖力の強い植物なのです。
(2)もう一つは、コンクリートの上に土を置くと、隣接した芝生が伸びてきます。この伸びた分を土をつけてカッター等で切りとり、それを裸地に植えて水を充分にやります。土ごと切り離すので、付きが良くなります。
(3)この方法の場合、ツユの7月が最高のチャンスです。芝に付いた土と裸地の耕した土が雨により密着し、枯れることなく繁殖を始めるからです。ホームセンタで買った芝苗にしても、実践上はツユが最適の植え時と信じるようになりました、
(4)雨季のため、雑草の繁殖も活発で、特に外来種の裏白父子草(地表にベタと張り付く草)も良く繁殖します。戦線が拡大しないよう、草取りの面を広げるように晴れ間を見て計画的に行います。