1.食品・雑貨の商圏はサッカ―ボウル!
過去に関東から九州の鹿児島まで、20都府県で350地区のマーケットリサーチ(スーパーを出すための)をした。リサーチの際約1万2,000人の主婦に会い、買い物の動機、行く店、行く店の頻度や評判なども聞き、この顧客調査をもとに「主婦の食のライフスタイル分析」もし(ネットで文字検索すれば参照可能)、主婦の買い物動向を真摯に研究してきた。ここではリサーチャーの立場から「仏子エリアの買い物環境」について評価をしてみたい。(近藤)
結論から言えば、仏子エリアには沢山の中堅スーパー、ドラッグストア、コンビニもあって、これから結婚する若者、あるいは若い夫婦にとって、買い物面ですこぶる恵まれたエリアである。GMS(ジェネラル・マーチャンヂジング・ストア―)と呼ばれる大型スーパーは地元にない。だがGMSは、大型専門店の台頭でひん死寸前の店が多く、「なくて幸い」とも言える・・・閉店という事態になれば、その穴はとうてい埋まらないからだ。
ところで食品、花き、雑貨、軽衣料までが、スーパーが扱う商品の基本領域である。これらを扱う専門店やドラッグストア、ホームセンターも商圏の仲間であり時にライバルであるが、それぞれ個性があれば買い物の選択性が高くなり、住民にとってはハッピーである。
日常品の商圏は、単純化すると自分の住む地点を中心に考え、外周部にある「頼りになるスーパー」をつなぐ線の内側と見てよい。この線の外側で買い物するばあい、これを「流出」と呼ぶ。流出の頻度は大幅に低下し、せいぜい買い物全体の15%(週1回)ほどに過ぎない。
仮に仏子エリアのヘソに当たるヤオコーの位置に住んでいたばあい、周囲の頼れる店を上げると新久の「さえき食品館=SAEKI」、春日町の「スーパーバリュー」、野田の「ベルク」、飯能市側の「アルプス」新光、雑貨も豊富なHCの「カインズ」となる。新久方向、新光方向は越えた先にスーパーがないので、2kmまでの円形とし、その他は紹介した5つの店舗を直線でつなぐ線となる。全体は一部丸みを持った4角形になる。
住所が2kmと動けば、「頼りになるスーパー」も異なり、別の四角形や多角形が商圏になる。あたかもサッカーボールのつなぎのように、四角形、多角形の商圏がつながり、こんどは「入間商勢圏」といった、もっと大きな区分に移行する。仏子商圏のばあい商店の集中度が高いのは仏子駅からヤオコーにかけてのため、上記の線の内側の人はほぼ同じ商圏を共有していることになる。ただし、線内のはずれの人は選択できる店は限られ、やや不便になり、他地区への流出も増える。
2.仏子エリアのスーパー他
2kmの円と言ったが、8方向で測った平均商圏半径は、徒歩・自転車中心の東京下町で750m、モータリゼーションの進んだ長野・群馬では2.5kmほどになる。今回は1.75kmほどと見てよい。平坦地だと自転車でも2km移動するが、仏子エリアでは坂も多く、車が3分の2くらいにはなるのではないか。
仏子商圏の目立った中堅スーパーについて、個性を知るため企業概況まで含めて紹介すると・・・
①
ヤオコー 埼玉の82店舗を中心に関東地区に144店展開。鮮度・品質と提供技術を重視、売上高はイオンの7分の1に過ぎないのに、営業利益は逆に1.6倍もある。このため。全国のスーパーから高い評価を受けている優良チェーンだ。仏子店はスーパーとしては標準サイズで、異業種集積としてエリアにない書籍他のツタヤを集積しているのが個性。最近改装し、駐車場の拡大もした。
②
サイキ食品館 スーパーとしてはやや小型の店を東京に13店、埼玉に1店持つ。小型だけに生鮮重視型で、かつ生鮮品は繊度も良く安い。100円台、200円台の肉・魚のパックも結構ある。ま人材育成に力を入れ、細やかなサービスを実施している。小谷田店のばあい、特異な100ショップ「セリア」が目の前にある。
③
スーパーバリュウ 埼玉の大安売りのディスカウント・ストアの雄はロジャースボールと旧・大川ホームセンター。この大川の流れに位置するのがスーパーバリューである。スーパーとホームセンターが一体になったかなりの廣さの店舗を埼玉に16店、東京に11店を展開。入間春日町店で見ると肉・魚など生鮮は、ジャンボ・パックだけだと思いきに200円台、300円台で買える品も多数ある。レジ12台で広さや販売力が分かろう。
④
ベルク 広い売り場面性、広い駐車場を持ち、ある程度の安さを採用。広域から浅く引くのが特徴。埼玉の67店舗を中心に関東に計96店を展開。野田店はマツモトキヨシ、衣料の「しまむら」、ベビー・子供用品の「バースデー」、100円ショップのキャンドゥ、1,000円床屋と5業態を配し、地域一番の異業種の集積をしている。
⑤
アルプス 繊度・品質型で特に青果物が良いとされるチェーンだ。八王子を中心に東京、神奈川、埼玉各県の西部に29店舗を展開。ベルク並みに売り場面積は一回り広い。新光店は売り場面積が地域内で最も広く、店内にファースト・フードの店(一口茶屋)、衣料専門店もある。異業種集積もマツモトキヨシ、西松屋、100円ショップのダイソー、カットの店と多い部類。マツモトやダイソーは売り場が広く、品揃えが豊富だ。
⓺カインズ 群馬出身のGMSに近い規模で、かつ安さのパンチ力を持つベイシアの兄弟会社。
四国を除く全国にチェーン展開。
四国を除く全国にチェーン展開。
3.専門店やコンビニ
ベイカリーについては、それぞれのスーパーにインストアBKがあるが、仏子駅北口近くには人気のマシューやベルク北東寄りに石窯パン工房もある。洋菓子店は少ないが、元加治駅付近に美味品を売るロンシャンがある。生鮮3品の店は特に少ないが、元加治駅前に野菜・果物の安い丸八青果がある。また精肉店としては仏子駅から西に3分ほどのところの、金子に向かう交差点近くに斧澤精肉店がある(新規・ファミリーマート前)。入間川岸辺や家庭でのバーベキューのため肉の供給だけでなく、バーベキュー道具も貸し出してくれる。
雑貨についてはドラッグストアが安いのが普通(近年はどこも食品・菓子にも力が入っている)。ベルクやアルプス付帯のマツモトキヨシ以外にも地域密着型のバイゴー、薬の分野が強いセイムス(両者は提携関係)が中心地寄りや金子側に抜ける道路の交差点にも新設された。
雑貨についてはドラッグストアが安いのが普通(近年はどこも食品・菓子にも力が入っている)。ベルクやアルプス付帯のマツモトキヨシ以外にも地域密着型のバイゴー、薬の分野が強いセイムス(両者は提携関係)が中心地寄りや金子側に抜ける道路の交差点にも新設された。
西武線沿線の多くの地区は、駅前の整備が充分でないため、商店街が発展していない。ために専門店が少ないのが欠点である。これを補うコンビニは域内にセブンイレブン5店、 ファミリーマート3店、ローソン・スリーエフ2店、ヤマザイ1店と計11店以上は確実にある。
無店販売の生協の宅配も盛んな地区で、コープ未来の埼玉、東京、パルコープ、生活クラブと複数の生協から選ぶことが可能なエリアだ。・・・・・以上のため出歩きにくい高齢世帯や身重な主婦でも食品、雑貨などの調達に困るということはない。
無店販売の生協の宅配も盛んな地区で、コープ未来の埼玉、東京、パルコープ、生活クラブと複数の生協から選ぶことが可能なエリアだ。・・・・・以上のため出歩きにくい高齢世帯や身重な主婦でも食品、雑貨などの調達に困るということはない。
4.流出先にも魅力店多数
そして2kmを越えた3km圏(流出先)には、大量販売安売り型のコストコや三井のアウトレトモールがあり、業務スーパー(飯能側)あり、入間駅まで出ればギフト品も揃うマルヒロデパートがある。
子育てに適した自然豊かな環境に加え、バライティに富んだ買い物が可能なのが仏子エリアである。若い世代が移住しても、不便を感じない仏子エリアであって欲しい。
<参考資料>
1.仏子エリア(商圏)の推定世帯数と人口
関与
|
率
|
関与
|
関与
|
関与
|
|
地区区分
|
分子
|
分母
|
世帯
|
人口
|
世帯人員
|
大字 新光
|
1
|
1
|
1,397
|
3,521
|
2.52
|
大字 野田
|
1
|
1
|
3,868
|
9,460
|
2.45
|
大字 仏子
|
1
|
1
|
4,015
|
8,485
|
2.11
|
大字 新久
|
29
|
33
|
1,523
|
3,625
|
2.38
|
大字小谷田
|
6
|
15
|
1,020
|
2,382
|
2.34
|
上小谷田3
|
1
|
1
|
74
|
195
|
2.64
|
大字 牛沢
|
1
|
1
|
347
|
836
|
2.41
|
鍵山 3丁目
|
1
|
1
|
378
|
901
|
2.38
|
鍵山 2丁目
|
1
|
8
|
76
|
174
|
2.30
|
春日町1丁目
|
2
|
6
|
200
|
478
|
2.39
|
他の市分
|
|||||
大字 笹井
|
6
|
10
|
323
|
723
|
2.24
|
大字 新光
|
1
|
1
|
114
|
258
|
2.26
|
大字 双柳
|
4
|
39
|
465
|
1,072
|
2.31
|
大字 岩沢
|
20
|
53
|
956
|
2,153
|
2.25
|
合計
|
14,756
|
34,263
|
2.32
|
埼玉14地区の商圏分析では、平均世帯数は16,255、平均人口は40,405のため、10~15%小ぶりの商圏といえる。しかし、ドラッグストアやホームセンターを含む競合店(100坪以上)は計9店ほどで、14地区の競合店は平均10.5店ほど。世帯や人口の差を考えると、選択性レベルや競争レベルは他地区と遜色がない。
2.食品・日用雑貨の購買力
埼玉県の14ケ所の調査で得た、世帯人員別の1世帯年購買力(万円)の方程式は・・・
1世帯年購買力y(万円)=7.55 × x
+50.85 x=世帯人員
仏子エリアは別表のとおり現在世帯人員2.32人 xを2.32とした1世帯の年間購買力は68.37万円 ÷12=1ケ月購買力56,972円(1世帯2.32人の場合平均)
仏子エリアのスーパー品揃え関連の年総購買力=68.37万円×14,756=年100億8,868万円
最近になり、コンビニのうちセブン1店、ヤマザキ1店が残念なことに閉店した。とすると現在コンビニは計9店。エリア人口34,263人を9で割ると1店3,807人。全国の平均は1店2,282人であり、まだまだ人口に比してコンビニは少ない。数字からすれば、コンビニが不足しているともいえるが、24時間営業のため従業者の雇用が難しいとか、粗利益のうち35~25%も本部にロイヤリティを徴収され、「薄利」という問題も影に潜んでいる。
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