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2022年1月4日火曜日

オンリーワンを目指すサイボクハム

                  

写真① サイボク全体の施設案内図

   埼玉県日高市のサイボク(埼玉種牧場)は、埼玉県下では川越にも続くような観光地である。他者が真似できないオンリーワンが絶えざる目標であり、他からの融資に頼らず、自力で進化の努力をし、農業版デズニーランドを実現してきた。一方、最近はセブンイレブンでもそのハム・ソーセージを売るまでになった。本原稿は最初9年前に書いたもので、一部手直ししたもの。 写真はいずれも最新のもの。



写真⓶ 肉のレストラン:






 


写真③ 精肉・加工肉を中心とした食品スーパー ベーカリーのコーナーも  

 敷地3万8000坪、駐車場900~1,000台、このエリアにはハム・ソーセージ工場に付帯した直売スーパー、バーベキューやステーキのレストラン、ファーストフード(FF)の6店舗、特産品販売やイベンとのミートピアという小型店、米やや果物屋を取り込んだ農産物直売所「楽農ひろば」、天然温泉「まきばの湯」、(陶芸教室、パターゴルフ場、このほか3頭の豚が住むトントンハウス・・・これらは現在ない)、アスレチックのできる広場が回りを囲んでいる。 年間、385万人が訪れると言われて久しい。


 






    

写真④ ファーストフードのコーナー   
 

 写真⑤ 農産物直売所の楽農広場:その「有機コーナー」、果物店もあり











写真⑥ 専門のお米屋さんもあり

    直売所は約170坪?、レジ6台だが年10億円前後にはなるはず。楽農心友会65人ほどの地元品は豊富だが、利便を考え仕入品もコーナーを分け扱っている。市場に出せないB級品を扱うのでなく、A級品を整然と美しく陳列しているのが好感を持てる。

 一気通貫型の6次産業化の最高のモデルと言えるが、サイボクの総合施設のある場所は、故・笹崎龍雄会長が昭和21年に牛、豚、鶏の品種改良に乗り出した牧場だった場所。現在は衛生や環境を考え、生産基地は日高市鳩山町、宮城県、山梨に移していてる。

 故・笹崎会長はすでに90代半ばだが、豚の品種改良、肉質の改良、加工肉の品質において絶えず本物志向のオンリー・ワンを目標にしてきた。生み出したスーパーゴールデンポーク(SGP)はその最高傑作。普通、国産の平均的な豚肉ロースは100g248円、薩摩黒豚が348円ほどがだ(過去の話)、SGPロースは直売所で堂々と519円、バラ肉で409円だ。ハム・ソーセージについては本場のドイツ他の食品コンテストで600個もの金賞を得ている。
 












写真⑦ 日がえり銭湯の天然温泉も












写真⑧ 昔はミニ・ゴルフ場→いまは自然と遊ぶアスレティック競技場(10種ほどの野外遊具がある)
 
 オンリー・ワンは何も商品に限らない。日々時代の顧客ニーズを先取りし、経営の理念においてもオンリー・ワンを追求してきた。ユートビアになぞって・・・
 第1ステージ アグリトビア  (1985年~) これはミートピアとも楽農主義とも呼ばれ、加工、小売機能も整え6次産業化で、豊かな農業や食生活を実現することを意味する。
 第2ステージ ライフピア   (2001年~) これは楽しさや究極のゆとり(美・感・創・遊)を謳歌する「農業版デズニーランド」の実現である。その多くは先記の通りサイボクの敷地のなかに、すでに具現化させている。
 将来博物館も作る予定とのことだが、そうなれば広大な牧場で豚や牛がのびのびと群れる姿も、立体映像で存分に子供さんたちに見てもらえるようになるのでは。故笹崎会長にはお会いしたこともあり、年賀状もいただいていたが、夢を追い続ける偉大な実践者であり哲学者である。
 
 詳しくは氏の著書「楽農革命」、「生活革命」(ビジネス社)を読むことをお勧めしたい。とてつもなく広い知識と農業者に大きな夢を与えてくれる。

観光と宅配の「陽子ファーム」(所沢)は有機の里

 平均的な農家の有機挑戦           本原稿は5年前に別のブログに掲載

(本文は原稿用紙に縦書きされたものを、横書きに直したため、数字の書き方が従来と異なります)


 所沢市のはずれに「城(しろ)」という地名がある。すぐ南は東京の清瀬市、東は新座市に接する。地名通り、ここには一一八〇年(治承四年)ころに築かれたという伝承の「滝の城」があった。「土豪が源頼朝の挙兵に呼応して築城したもの」とされるが、正確なことは分らない。平地に聳える高さ三十メートルほどの丘の上に築かれたもの。深い堀のようなものが渦巻状に本丸跡を囲み、小規模ながら守りの堅さが伺い知れる。 

この城址の頂上部から見下ろせば、所沢市の畑作地区が拡がり、あちこちとビニールハウスの集団が銀色に輝いている。今回紹介の「陽子ファーム」のハウスも含まれる。昔は稲作も結構行われていた地区という。柳瀬川という川に沿い、一〇キロも離れた狭山丘陵下の西武球場当たりまで田圃が伸びていた。夏場は田の水が蒸発し雲が発生、たびたび雷雨に見舞われたという。

「陽子ファーム」は、推察される通り主婦の池田容子さん(六十五才)が中心になって経営する農場である。いま女性の地位向上が叫ばれ、女性起業家も急増中だが、三十五年も前から市役所に勤めるご主人の佳弘さん(六十五才)に代わって、有機無農薬農業を進めてきた有名な方だ。久しぶりに奥さんに会って、頬に張とツヤがあるのに気付いた。奥さんに「三十代の肌ですね」と本心で申し上げた。有機農産物を日々賞味している賜物と思う。
<写真>ブルーベリー
を背景に 池田容子さん
「滝の城」は石垣が見られず、土塁で固めた城だが、陽子ファームもまた「通気性、透水性にすぐれ、腐食物の粘液で団粒構造になっている豊かな土」の上に築かれ堅牢な城のように感じる。環境にやさしく、食の安全第一の農法なので、多くのボランティアや顧客に支持され、野菜のこだわりを求める市民やレストランへの宅配、観光農業、体験教室、ジャムほかの加工や販売・・・と、多方面に進出し成果をあげてきた。

屋敷は、比較的車の往来が少ない街道に面している。街道沿いの長い塀の一部には観光案内のため「ブルーベリー狩り 無農薬有機栽培野菜・果物直売」とペンキで書かれた看板が出ている。
<写真>道路に面した観光農場の看板
現在の「陽子ファーム」は本人、ご主人、息子さん、パート実質三人(主に配送業務)の陣容で、実習生も〇~二人と補助に入ることも。耕地は普通畑一・八八ヘクタール(うち果樹〇・三七ヘクタール)。この面積は北海道を除く全国平均の一・八ヘクタールと一致する。作付面積は野菜では葉菜類七〇アール、根菜類五六アール、果菜類四一アール、果物ではブルーベリー三〇アール、他果実七アールである。

屋敷続きの農地にもハウス四棟があるが、ハウスの総棟数数は十一棟である。一棟の面積は小型が九七平方メートル、大型が二八八平方メートルといったところだ。ブルーべリーなどもハウスで栽培されている。

畑は車で二十分もかかるところにまで広がり、分散しているためや、無農薬のため雑草や害虫との闘いもよせねばならず、作業は楽ではない。

容子さんは昭和二十七年に城に近い所沢市中富の農家の長女として生まれた。高校時代はバレーやソフトボールもやる活発なお嬢さん(結婚後のママさんソフトボールの県大会で優勝)。二十三歳の昭和五十年にお見合いで結婚。ご主人はクリやサトイモを作る農家の後継ぎだったが市役所勤務・・・典型的な日曜百姓の一人だった。
「農業を手伝わせないから嫁に来てくれ、と言われ結婚したものの、実際は嘘だった」
奥さんの言葉に、隣に座るご主人も笑って応じる仲の良さ。高度成長時であれば、サラリーマンの奥さんは専業主婦になることが圧倒的に多かった。正直、多くの女性の例にならい、専業主婦にあこがれていたとしても不思議でない。

このため奥さんは結婚当初、着物の着付け教室を開いていた。しばらくして義父に「農業を手伝って欲しい」と云われ、少しずつ手伝うようになった。義父が高齢であれば、手伝いを求めるのは当然といえる。初めはいやいやながら手伝いだった。昭和五十一年に長女を出産、さらに二年経ち五十三年に長男が生まれた。ところが長男の尚弘さんは生まれて間もなく、軽いアトピー性皮膚炎になる(これは二年ほど続く)。

義母も病気勝ちだったので、「家族の健康のため何かできないか」と考え、有機農業に行き着いた。だが義父からは「無農薬では野菜を作れない」と反対もされた。これまで農作業で失敗を重ねてきたことも背景にあった。これを機に、奥さんは本気で農業に、そして有機栽培に取り組むこととなった。

自然循環型エコ農業の地
有機農業を奥さんが目指すようになった理由の一つが、生まれが「中富」だったこととも関係する。約三百年前の元禄時代、川越の藩主の柳沢吉保がいまの川越市、所沢市、狭山市、ふじみ野市、三芳町にまたがる新田開発を行い、この地域を「三富(さんとめ)地区」と呼んだ。中富はその中核地区であった。三富農業の特徴は、一区画の幅七二   メートル、長さ六七五メートルの超長方形の畑を挟み、ケヤキなどで囲まれた屋敷と、人工の雑木林を両端に配置。雑木林の落ち葉を堆肥とする自然循環型の農業を目標にしてきた。いまでも屋敷内の林地に高さ一・五メートル、横十メートルもの落ち葉が積まれ、切り返しで堆肥化が図られている例を見る。奥さんは循環型農業を見て育ったのだ。

<写真>三富地区の雑木林(これは手入れのゆきとどいた例) 


JA系の「現代農業」(農文協刊)には、豊富に有機農業の記事が出ており熱心に読む一方、二年ほど経って日本有機農業研究会に加入し、勉強会にもしばしば参加した。有機農法といっても①減農薬・減化学肥料栽培、化学農薬・化学肥料の量を慣行農法の半分以下に持って行く特別栽培(各県で基準示す)、③三~二年以上の無化学肥料・農薬期間を経て国のJAS認定が可能になる有機栽培、④体に良くない硝酸態窒素を植物の体内に取り込むのを抑え、かつ省力にもつながる自然農法まである。

アトピーの原因物質は一部の食品も対象だが、実際はホコリとか化学物質が原因の場合も多い。またアトピーを治すには、緑黄色野菜が有効とされている。奥さんが目指したのはこうした野菜を中心に、果物も加えた完全な③有機栽培だった。しかし近年は堆肥作りも省力な方法を採り、雑草や作物を刈り取りそのまま放置、これで次なる雑草の発生を抑えるといった④自然農法に近い有機栽培になっているという。

堆肥の中心素材は落ち葉であり、落ち葉の給源のクヌギやコナラの雑木林は、当初約十四アールしかなかったが、友人から雑木林を借り、現在は一三〇アール(一町三反)まで拡大している。昭和五十八年ころからはボランティアの協力を得て、落ち葉きのイベントを始めた。一月に二週に分けて土・日曜を選んで二回来てもらい、赤飯、けんちん汁、野菜の煮物などで野外パーティ。好評で落ち葉きのボランティアが増え、林地の拡大が可能になった。なお翌年から、野菜の収穫体験の「芋煮会」も開催するようになった。

ところで堆肥を作る方法だが、当初は落ち葉にヌカやオカラなどを混ぜ完熟させるのが主流。オカラは県外の知人に分けてもらっていたが、近年は資源リサイクル法ができ、県外から入れることが困難に。ヌカも米作農家が減り、貴重品となり使えなくなった。

最近の堆肥の作り方は、落ち葉を集め林地に丸一年置いておくだけ。林地に住む菌が自然に発酵を助け、完熟堆肥になる。これを畑に運び三ケ月ほど置いてから散布する。「林から畑への移動が切り返しにつなり、別に切り返し作業はしてない」とのこと。

ヌカやオカラに代え最近は木材チップやもみ殻を使うが、落ち葉に混ぜ込むのでなく、畑に撒いて使えば済むそうだ。また輪作を採用。ソルゴーや小麦を植え、これを鋤き込んだり、雑草や畑に残った野菜も鋤き込む。

陽子ファームはこうした対応を三十五年前から実施してきた。完全に化学肥料ゼロ、化学農薬ゼロの農業である。普通ならば「有機農産物」の有資格者だが、JASの有機認定は受けていない。「一回、認定に必要な見積もりを頼んだとこ、百万円以上でびっくりした」とのこと。多数の圃場で、多数の品目、しかも野菜と果物を作っているとなると、それぞれの検査費用が加算される。加工も別建ての計算である。陽子ファームの経営形態では、楽に通常の三~四倍も認定費用がかかってしまう。

陽子ファームの場合は、こだわり志向の生活クラブの会員個人やレストランから、「素晴らしい。分けてくれないか」と頼まれ供給が進み、あえてJAS認定をとらなくても良かった面がある。

宅配や観光園に活路
日本における有機JAS認定圃場面積は全耕地面積の〇・二%と少ない(この他有機志向の圃場が〇・一五%)。有機の面で遅れているアメリカが〇・四%だが、進んでいるイタリア八・六%、ドイツ六・一%、フランス三・六%に遠く及ばない。

消費者の皆さんに理解を得て置きたいのは、日本は多雨で湿度も高く、病気や害虫が発生しやすい。このため便利な農薬を使いたくなる。年平均雨量を見ると、日本を一〇〇%としたときアメリカ四二%、イタリア三七%、ドイツ四一%、フランス五〇%といずれも半分以下なのだ。ヨーロッパ諸国は酪農や肉牛肥育も日本以上に盛んで、牛糞や鋤き込み用にもなる牧草、麦わらなども豊富なこともある。有機栽培をしやすい。

さらに有機栽培は慣行栽培に比べ労力がかかり、売価も高くなり消費が拡大しにくい面がある。農水省の野菜十一品目の調査によれば、慣行栽培の平均一・六八倍の価格になっている。陽子ファームで、ご主人や親戚の無料報酬の労力を折り込むと、ブルーベリー栽培では、確か慣行栽培の二倍前後の労力費になったと記憶している。

いずれにしても、平均規模の農家では費用対効果を考えてJAS認定を受けず、「隠れ有機栽培」を通すケースが多い。これは問題だ。検査技術も進んでいるので、行政も新しい制度、費用を打ち出すべきである。認定費用が安くなれば、有機栽培の普及や技術革新も進み価格も下がる。所得面でエリート層に当たる人だけでなく、広く普及する。

陽子ファームは、普及しにくい現状に手をこまねいていたわけではない。安全面でのこだわりを持つ生協に加入する市民、そしてレストラン等へ販路を広げた。それだけでなく、観光農園、収穫体験13教室、ジャム・漬物・菓子等の加工と、付加価値の取れる分野に進出してきた。

計画的にキューイフルーツを栽培し始めたのは昭和五十五年で、実際にキューイの観光農園を開いたのは昭和五十八年である(これは虫害が拡がり平成十六年には閉園)。筆者は九年前に、ブルーベリーのシーズンに初めて訪問した。開園期は六月下旬から八月上旬。ハウスの対象面積一四アール。入園料一人千円+消費税で、二〇〇グラムを顧客に差し上げる仕組み。入園管理の小屋には野菜や果物を混ぜたクッキーなども多数置いてあった。このときブルーベリー栽培の苦労を十分に聞かしてくれた。

ハウス内に虫が発生する頃には、カマキリの卵(泡状)を子供さんに集めてもらい、ハウスにカマキリを増やし、害虫を食べてもらうのだ。だが鳥のセキレイが増え、カマキリの卵がなかなか手にはいらない。このためピンセットで害虫を一匹、一匹取るのだ。市役所勤めだったご主人も出勤前のひととき作業を手伝い、親戚の二人にも手伝ってもらっていた。同時に畑の野菜の作業、宅配の発送準備もあるから、人手はいくらでも不足の様子だった。

手際の良い野菜宅配体制
屋敷内に宅配の作業場もある。ここでは  週四日間、各日二人のパートが働いている。段取りが良く、ヤマト運送と提携して注文主の住所、氏名、電話等を伝票に印字してもらう。これを発送日別の引き出しに保管。当日になると取り出し、奥さんの指示で必要品目を封入する。合わせて消費者の方とのコミュニケーションを充実させるため、A4一枚に農場の近況、出来不出来の状況、今回送付の商品名(七品~九品)などを記入した簡易チラシも入れる。すべてホームページを通じ、ネット上で注文が可能になっているのも特徴。信用第一で、間違いの起きないシステムが構築されているな・・・と感心した。
<写真>野菜の宅配の作業場
現在宅配ルートに乗っている顧客は埼玉、東京、千葉、神奈川などのレストランとの契約販売が二十ケ所、一般家庭が約九十~百ケ所、計百二十か所近い。業務筋には月四回、一般家庭は週一回から月一回届ける。家庭用のセットは税・送料込み三千円である。詳しくはホームページを見るのが早道だ。

季節の野菜を豊富に揃え、珍しさを付加するため、現在では西洋菜、中国菜、伝統菜まで入れ約百種を栽培している。最初に訪問したとき、「作物ごとの栽培面積を出してくれないか」と頼むと、奥さんは約一時間掛かったと思うが、野菜五十五品、果物八品についてアール単位の面積も書き出してくれた。奥さんの頭の中には絶えず圃場ごと、季節ごとの野菜・果物の様子が刻まれているのだな・・・とこれまた敬服したものだ。

ところで国の施策として平成二十三年に農業の六次産業化がスタートした。生産の一次、加工の二次、販売の三次の総ての数字を足すと六次。三つの一体運営で付加価値をつけて農家が売るが六次産業化である。奥さんはこれをはるかに遡る平成十七年(二〇〇五年)に「陽子ファーム」の名を採用し、ジャム加工に乗り出していた。夜なべに一人で、普通の鍋を使い果物や一部野菜を煮て、これを瓶に詰める作業をしてきたのだ。魂を注入しての美味、安全なジャム作りをしていた。当時はブルーベリージャム二〇〇グラムの丸瓶が税込み七百三十五円の売り値だった。

 私はできる限り正確な原価を割りだすことに努める一方、スーパーやネット上の売価も徹底して調べ、奥さんに「原価が七百二十三円かかっています。これでは全くの赤字ですよ」と申し上げた。このあと平成十九年にはやや小規模だが、陽子ファームは敷地内に小規模な加工施設を設けた。

賢く、かつセンスもある奥さんだった。しばらく過ぎて伺うと、そこにあったのはジャムの八角瓶だった。レッテのデザインに英文字も使われ、ネーミングもジャムでなく「コンフィチュール」となっていた(これはいまジャムにもどされている)。そして瓶の容量は一四〇グラム、価格は税込み八百六十四円に生まれ代わっていた。商品化のセンスには素晴らしいものがあり、だれも驚くはず。
<写真>各種のジャム
ジャムほかの瓶詰めのアイテムも豊富だ。ジャム類はブルーベリー、いちじく、キュウイ、ルバーブ、ストロベリー、かりん、夏みかん・・・があり、総て一四〇グラムが税込み八百六十四円に統一されている。この他トマトペースト二〇〇グラムも八百六十四円、ナスのオイル漬けは大瓶一千二百九十六円である。

宅配等の注文は「陽子ファーム」のフォームページ参照

電話での商品注文は 04-2944-2681

住所:所沢市城509

2021年12月29日水曜日

いも街道(三芳町)はケヤキ街道だ・・・写真集

 




写真① 名主の旧・島田家・・・街道の北はずれ

「いも街道」は三芳町を走る県道56号線の多福寺前の交差点から下組の交差点までの約1,250mを指すものと理解する。この間に下冨の旧開拓農家の屋敷が左右にずらりと並ぶ。一部集配センターなどに置き換わった敷地も多いが、ケヤキで囲まれた2,000平方メートルはあるだろう広い農家屋敷が続き、晩秋から春にかけ「川越いも」「冨のいも」のノボリが多数たなびく。旧川越藩の地域であり、三冨開拓地域に属するためである。いずれも「三芳町川越いも振興会」(29戸)の加盟農家である。その開拓の歴史については別項の「落葉農業の三冨新田史跡保存に学ぶ」を読んでほしい。ここではときに煙出し楼もある屋敷、ケヤキ、芋のぼり・・・といった「いも街道」の堂々とした風景を見てほしい。

 写真⓶③④⑤⑥        北→南へ          



















一息つきたいとおもえば、地元産品を総合的に揃えた江戸屋弘東園がある。ここではお茶、芋、菓子、黒麦茶、お酒、ギフトセット、富のヒノキの木工品まで売られ、陶芸クラブや手g芸と合気道クラブもある。建物そのものも江戸を偲ぶ立派なもの。

飲食店としては北から南にかけ、「旬菜そば・うどん富」「食事処かどや」「チャーシュー力V3」「ビザレストランIZAEMON(伊左衛門)」がある。いもの購入だけでなく家族ずれで食事も楽しめるイモ街道である。


 




写真⑦⑧⑨ 


















                                                       
   


2021年12月11日土曜日

野菜作り実技修得は「ぼくらの農園」(宮寺)ートマトの直売も

 1.技術指導型の「ぼくらの農園」

          写真① 経営主の岩田 浩さん

          写真⓶ 翌日出荷の準備 真っ赤だ!







 

   入間市の宮寺地区は、住宅や工場も多いがまだまだ畑作地も多い近郊農業地帯だ。この宮寺2603に岩田浩一さん(42才)の農場4.5ヘクタールがある。岩田さんは、2003年地方の大学を出て実家に就農。いま700㎡の巨大ハウスでトマトの溶液栽培が大々的におこなわれ、近々1,500㎡のハウスも稼働する。他にネギ2ヘクタール、エダマメ80アール、ブロッコリー80アール等も栽培され、トマトの売上は全体の20%ほどというから、他の生産額も大きい。そして、この直営作業部門に加え、2009年から「ぼくらの農園」(2019年11月に株式会社)となり、栽培指導付きの体験農場を開き、入間市青年会議所とタイアップし、消費者に呼掛けトマトやジャガイモの収穫体験、味噌づくり体験も実施し、武蔵藤沢の島屋豆腐店の春の豆腐祭りにも参加している。正確には宮寺2603。近くには不老川というこの地区唯一の川が流れ、南関東の大動脈といえる国道16号線が走る。

 

写真③ 同じスタイルの栽培群が70区画も並ぶー体験農場 

写真④ 農場に自由に使えるよう鍬を掛ける場所も。バケツやジョウロの置き場も

   国道16号線もあり、近くも遠くも狙える立地だが、岩田さんは「食べてくれる消費者と直接触れ合い、心を通じ会える近い関係を重視した農業をしたい」を目標にし、行く行くは地元にレストランを開きたいと言う。マーケティングの基本は「顧客のニーズを正確に知り、これに十分に答えること」だが、このため消費者ともに野菜を作れば消費者のニーズだけでなく、ライフスタイル全体が分かり、次なる開発商品のアイデアもつかめる。

 教える側の岩田さん自身、東京の練馬区にあった体験農園でそのシステムを1年間学び、教え方のノウハウを持ち帰って体験農園を始めた。希望者に3m×13m=39㎡の土地を貸し、年15回ほど土曜、日曜のいずれかに来て、1時間ほど技術講座を受け、あとの1時間で実際に作業をする。種まきの前後は月2回だが、普通月1回来ればよい。

 「貸農園と違い、農家の方が実際に農作業を教えてくれるので、すぐ上手になれるのが魅力」と評判である。ときに土壌のPHの測定法やパワーシャベルの操作法まで実指導。圃場の現場に農具や資材の置き場があり、水道の蛇口の2ケ所にある。だから指導日以外の時に来て作業を楽しむ人もいる。実際に育てる野菜の数は15種以上にもなる。たとえばトマト、ネギ、ニンジン、エダマメ、ブロッコリー、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、トウモロコシ、ジャガイモなど。 

現在、体験農場には約70組が参加し、同じものを植えた70の区画が連なる畑は壮観である。種子や苗、肥料、農薬、農機具は一切農場側が持ち、参加者は手ぶらで来ればよく、貸農園とは大違いである。年間の指導料は3,000円。1月にして3,200円ほど。収穫物は全部持ち帰れる。ある生徒さんが実際に計算してみたら、収穫物の価格は6~7万円になったそうで、「実質負担はゼロ」ともいえる。参加者の半分は農業をしたい男性会員、半数は家族で農業を楽しみたいという家族会員といった状況のようだ。 

2.若手農業者の育成にも挑戦

 今農場全体の正社員は3人、パートは延べで15人ほど。年商は5500万円程という。トマトは中玉を作っているが、溶液栽培のためすべて機械でコントールでき、省力化・安定化しやすい。8月下旬に苗を植えれば、翌年の7月中旬まで次次収穫でき栽培が楽である。1,500㎡のハウスが加わればトマトの販売比率が40%以上になるという。

写真⑤ トマトの溶液栽培・・・周年収穫している     写真⑥ トマトの直売も

                                                            
   販売先は、庭先直売もあるが、主に10店舗ほどのスーパーだ。農協から紹介された先もあるが、自身で開拓した店もある。前日夜にパーケージして冷蔵庫に入れたものを、翌日配達する。売り場で値付けをして陳列。返品が気になったが、「前日の残りは値引きして売り、持ち帰ることはない。新しいシールを打ちだし付け替える」だけとのこと。スーパーのほうも農家の誠実さを全面的に信じていて良好な関係が構築されている。直売所のばあいは「前日の品が残れば返品」と聞いていたが、スーパーでは売価下げ―再販売でよいと聞いてひと安心。 配送に2~3人で朝出掛、値付けもあり各2~3時間かかるようだ。

岩田さんは、若き農業者の育成に意欲を燃やしており、これまで2人を育てたが、独立し地方に帰っていった。できれば近くに農園を持ってもらえる人であれば、土地を手当てしたり、販売の支援もできる。また協力し合えればマーケティング力なども強くできる。さらに欲を言えば「農場に残り、中軸を担う後継者にもなりうる人を育てたい」という。いずれにしても若さにあふれたダイナミックな経営である。    岩田さんの携帯080-1172-0831

2021年11月17日水曜日

イオン入間店にはオーガニック野菜も多数

 

 仏子に住んでいると、イオン入間店のある上藤沢462-1は、東南のはずれで、行く人は少ないはず。所沢方面に出たついでに寄るようなパターンが多いのでは。何しろ本格的な総合スーパーと言えば所沢以西ではここだけ。ともかく直営売り場は超ワイドで品数は3万点以上、テナントも沢山。

 売り場が広いだけに一般スーパーにない独自開発のスーバリューという独自ブランド品も多いし、無農薬と有機肥料のみで育てたことを国が有機認定したオーガニック品の野菜だけで40点ほど売られていた。ネギ、カブ、ホウレンソウ、シュンギク、トマト、ミニトマト、キュウリ、ニンジン、サツマイモ、サトイモ、レンコン、タマネギ・・・と大体の野菜がうられている。選択性には不足がない。契約生産がほとんどのはずで、値段もとびぬけて高いものではない。税込みでホウレンソウ1袋213円、タマネギ3玉267円、サツマイモ2本入り321円、ニンジン2本入り213円・・・といったところ。

各袋には政府の有機認証を示すの下記のマークがついている。

なお、地元生産者13人が出荷する直売野菜コーナーも32尺分ほど(平台)あり、じゅうじつしている。




仏子地区投票率はー衆議院選挙(令和3年10月)!

 

 衆議院選挙が終わり、自民党の岸田内閣も発足した。この選挙で、どのくらいの人が投票に行ったのだろうか。入間市のばあい小選挙区の結果は、期日前投票や不在投票まで入れ(海外除く)54.59%となっている。地区別の期日前・不在率が分からないので、これはどの地区も同率として、仏子小学校と野田中学校の修正投票率を出すと、仏子小60.77%、野田中59.82%となる。市の平均より約5%高い部類で、少しだけホッとした。 

 今回、全国平均の小選挙区投票理知は55.93%である。昭和21~42年の戦後復興期は70%台。昭和47~平成5年は60%台。平成6~平成29年は50%台・・・と階段を降りるかのごとく投票率はガクン・ガクンと低下してきたのだ。どうも経済循環などとは一致していない。学校教育とか家庭教育の変化の影響が大きいと思う。戦後は苦しく、与えられた民主主義だったが、多くの人が苦しさからぬけだすため、政治への関心が強かった。高度成長期にはいり所得が伸びるなか、政治は他人任せでも「どうにか生活は安泰」という機運になり、親は労働組合にも入らず、職場や家庭で政治のことを語らなくなった。親は親、子供は子供の遊びの世界が増えた。親子断絶が進み、こんななかでリーマンショック。その後は成長なき時代で非正規雇用も進み、職場内断絶も進んだ。政治・経済の恩恵を受けない非正規な人は続々と選挙時の無投票層に代わっていったように思う。 

   図は前回の衆議院選挙の年齢別投票率
  無投票がいまや最大勢力で、「無投票!みんなで渡れば怖くない」とさらに投票率が下がっていくのが怖い。「仲間も投票に行かないのだから、俺も行かなくても恥ずかしくない」と思う人がますます増える。しかも表のとおり、無投票者は若い人ほど多い。やがて1人の勤労人員が1人の非勤労人員を支える国になるというのに、今の30代以下の層は45%以下しか投票に行っていないのだ。18~19才は例外として20~24才の層の投票率は実に31%だ。「三割民主主義」になれば、ベラルーシュやブラジル、フィリピンのような独裁国家が生まれてもおかしくない。家庭内においても、親子が友達のようなフランクな付き合いをし、ざっくばらんに生きざまを見せ合い、様々な話が出来るような雰囲気にしないと、政治的後進国から逃れられないのでは。
 

さらに紹介しておくと日本の国政選挙の投票率は、世界191ケ国のなかの145番目で53.68%(今回選挙と類似)である。もっとも同盟国とされる米韓を見ると韓国は131番目で58.03%、アメリカは134番目で56.84%だ。先進国のなかでは共にきわめて悪い部類である。たとえばオーストラリア91.89%、ベルギー88.38%、スウェーデン67.16%、デンマーク84.60%、ノールウエー78.22%、ドイツ76.15%、オーストリア75.59%、イタリア72.93%、スペイン71.76%、フィンランド68.73%、カナダ67.65%、イギリス67.55%と、日本よりいずれも15%以上高い。文化・経済・工業レベルの違いよりは、国民性が大きく関与しているように思う。

日本人の国民性に通じる言葉・・・和をもって尊しとする 長い者にはまかれろ 出る釘は打たれる・・・この結果、本音を語り合わない、政治の議論は極力避けるで、政治への理解が欠如し、投票に行く人でも「良く分からないが、義務的に投票する」という姿の人も多いのではないか。 革新を名乗る立憲民主党ほかにしても、地域での日常活動がゼロであり、政党ニュースは流れて来ないし、議会報告会もない。これでは庶民が政治音痴になるのを手助けする政党・・・と批判されて当然であある。

 

常時「花栽培仲間を募集」の所沢緑町公園

 


 

   令和3年中に各地の団地を訪ね、「花一杯運動的な雰囲気か」を見て回った。新所沢の第1、第2団地は花壇のスペースも多く、多数の人が花壇の手入に参加していることも分かったが、私の住む団地では共有地の花栽培の規程もないため、共有地の花壇利用は「歓迎か否か」もはっきりせず弱っている。

 ところが、新所沢団地の公園を見て、違いが分かった。団地とは別の管理がされているようだが、公園の片隅では太極拳のグループが練習中で、これも素晴らしいが花壇の運営も立派である。写真の看板2つを見れば分かる通り、「花と緑のボランティアの会」の名で「一緒にお花を植えませんか」「お花の好きな方の参加をお待ちしています」「私たちの街を私達の手でうつくしませんか」「美しい街づくりのため協力してくれませんか」と訴え続けているのだ。そして、毎週水曜9~12時に作業に参加くださいとし、忙しければ一部の時間でもOKとしている。

 

 







      その成果は30m程の間にある実際の3つの花壇が証明している。パンジー、ビオラ、葉ボタン、ベコニア他・・・植えられて植えられている。これだから、地元団地の花壇も立派なのだと思った次第だ。