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2021年8月31日火曜日

陶芸を楽しみたい方は飯能精明窯へ-親切に指導!

 

 写真1:窯の看板。電話番号は現在つかわれていません

   入間川にかかる中橋を越えまっすぐ北上する。新光の住宅地や299号を越えると347号との交差点に出る。そのまままっすぐ飯能ゴルフクラブの中を走る一方通行路を突っ切ると畑地帯。なおまっすぐ走り、突き当たりのカーブを北西に曲がると、すぐに「飯能精明窯」の写真の看板が見える。347号の交差点からちょうど1キロほどの距離だ。昔、この地区は精明村と呼ばれたようで、精明窯と呼ぶようだ。10台分くらいの駐車場もある。習いに通うとなると、車が必須のようだ。正式な住所は飯能市平松231-3。

 写真2:ガス窯ー四ツの区画に分け、数段にも重ねて焼ける



写真3:ロクロが3台。
   コロナ禍避けるため
  真中を除いて作業

 
  外見は普通の民家のように見えるが、窯利用者(会員制)の世話人兼会計担当の小國さんに中を見せてもらった。入口横に約5坪ほどの電気窯のある部屋がある。ここには釉薬の入ったポリ容器が所狭しと通路に並んでいる。制作にあたる作業場は約10坪と広く、ロクロ3台や作業台が並び、壁面の棚にはかつての先生や生徒さんの作品、色見本となる5センチ角ほどの無数のタイルなどが並んでいる。

 写真4:右側はタイル状の色見本。右側は過去の生徒さんの作品等











写真5・6・7:作品のほんの一部

 


 

 現在の会員さんの作品は、やはり身近に置いて眺めたいため自宅にほとんど持ち帰っているそうだ。作業の合間にくつろげるようハイカラなテーブルと椅子もある。建物前の庭は30坪もある。現在は野菜畑に利用・・・これだけの立派な舞台を用意したのは先代のすでに故人となった先生だそうだ。それぞれの作品は、ガス窯で焼成する。約1,250度ほどの温度で焼く。時間は15~17時間かけじっくり焼くので、よく焼きしまる。

写真8:意見を交換ーくつろげるテーブルや椅子も




写真9:作業場前の広い畑・・・
   世話人の小國さん(中央)は陶
   芸だけでなく花の栽培にも詳し
   い方である。




   現在は男性4人、女性3人の会員さんがいて、サークル的運営で活動している。会費は月6,000円。家賃や粘土、釉薬、色付け材料、その他日用品の実費を含んでいる。あとは陶磁器を窯に入れて焼く量に応じ負担する加算金のみ。会員は自由にやってきて、粘土をこねロクロを回し、互いの持てる技術を出し合い、切磋琢磨して良い作品づくりに励んでいる。アドバイスを求められたときは、小國さんが、主に当たっている。体験学習したい人は4,000円を出せば、2回教わるコースもある。

令和3年11月にアミーゴで開かれた展示会作品



 









 もし陶芸に興味のあれば、ぜひとも世話係の小國さんに連絡くしてみてください。連絡先 080-6700-6900  

2021年8月22日日曜日

 サトイモは160cmもある巨大植物

 


 8月に所沢の堀金地区をドライブすると、あちこちにサトイモ畑が点在する。近づくと、大きな葉嶽でなく、その丈にびっくりする、ちょうど私の背丈に匹敵し150~160cmもある。戦後間なしに家庭で作ったときは70~80cmくらいだったように思うのだが、「プロが作ると違うものだ」と感心。付近には100cm以下のものもあり、品種のせいか?


 サトイモの生産量は埼玉県が全国1位。農家産出額も1位で、埼玉県の主産地は所沢、狭山、入間、日高、川越の各市と三芳町(以上入間地方と言われる)だ。わたしがアルバイトの仕事で日高を除き週4回各市を通過するので、日々サトイモ畑と出会うことになる。サトイモは「高温多湿を好む」とされているが、ちょっと違うように思う。
 

入間地方は平らながら丘陵部をなし、イネ作に向いた川沿いの低地はない。あまり栄養分のない関東ローム層で深く覆われた畑と武蔵野の雑木林が続く。畑をよく見ると錆びない鉄の板で囲み、盛り土をして造成した畑が1/3ほどもあるように思う。とても多湿を感じさせる地域ではない。これがむしろ市場で高く取引される「ホクホク感があり、煮ればヌルリとした美味な入間のサトイモ」にしているように思う。サトイモ自身が大きく差立ち、葉がおおきいこともあって、地上部は乾燥せず、適度の湿り具合になるのではないか。 

 皆さんも知っているだろうが、サトイモは前年収穫し保存しておいた種イモを植える。これに大きな親芋が育ち、凸凹と子イモが発生、時にはさらに孫イモすら発生する。親イモ、子イモ、孫イモのどれがうまくて食べるのか…は品種による差があるようだ。だが、一般には子・孫イモが売られているようで、親イモはやや固いとされる。親・子を混ぜたものを販売する店もあるようなので要注意である。

2021年8月13日金曜日

狭山茶の地元シェアーは低いー入間市政チェック②

 1.狭山茶を含む埼玉茶のシェアー1.%

 41の宣言のなかには、「狭山茶の産業振興・アンテナショップの開設」「狭山茶主産地のまちづくり条例」という茶にまつわるものがある。入間市と茶は密接不可分だが、再度全国における狭山茶(と言っても埼玉県分の)の位置を知る必要がある。2020年における埼玉県の荒茶生産額のシェアーは1.1%で全国10位である。1位静岡36.1%、2位鹿児島34.2%、3位三重7.3%、4位宮崎4.4%、5位京都3.4%、6位福岡2.3%、7位奈良2.1%、8位佐賀1.6%、9位熊本1.6%となる。茶葉ではすでに2020年に鹿児島が1位、静岡は2位と入れ替わっているが、ともかく荒茶で言えば静岡の1/31のシェアーに過ぎない。埼玉県の人口の全国シェアーは5.5%であり、荒茶のシェアーが1.1%ということは、茶が人口に比例して飲まれるとすると、1.1÷5.5=19.0%・・・

   つまり埼玉で飲まれる茶の2割弱しか県内で自給されていないことになる。狭山茶の特徴は、生産(1次)、加工(2次)、販売(3次)を各茶業生産者が1貫してやってきたこと。これを1×2×3=6次産業化と呼び、2011年(平成23年)から農水省は「自ら加工・販売まで手掛ければ、農家の付加価値、所得は高まる」と6次産業化を推奨。狭山茶の場合、各戸が住宅付帯の店舗を作り、商品の見本を展示しながら対面で売る「座売り」方式だ。この座売りの低迷もあり、ほとんどの生産者が各自ホームページを立ち上げ通販もしているのが現状だろう。 

2.スーパーの扱いは極めて少ない

 固定客に直接売るのだから、当然高い付加価値が得られる。半面、大衆商品を扱うスーパーへの供給努力が弱くなり、結果的に狭山茶のシェアーが伸びないことになる。仏子・金子地区のスーパーに例を見ると(麦茶含む。ボトル入り別、紅茶は除く)・・・

Aスーパー:小規模。ゴンドラ幅約180cm。茶アイテム60、うち狭山茶2アイテム。100g730円、780円。

Bスーパー:中規模。ゴンドラ幅約270cm。アイテム72、うち狭山茶17アイテム(非常に多い部類)。

Cスーパー:ディスカウント型大規模。ゴンドラ幅180cm。アイテム60、狭山茶2アイテム。100g495円、798円。 お茶軽視の感あり。

スーパー:中規模。ゴンドラ幅270cm。アイテム106、うち狭山茶6アイテム。

Eスーパー:大規模。ゴンドラ幅270cm。アイテム75,うち狭山茶2アイテム。100g478円、554円。

 Fスーパー:中規模。コンドラ幅300cm。アイテム92、うち狭山茶3アイテム。 他に茶専門店入店。 

写真①中段の4品が狭山茶

以上のように、スーパーにおける茶の扱いはゴンドラ2~3本が普通だが、これがほとんど伊藤園を中心にした大手や中小メーカーの品に占領され、狭山茶は2~17アイテムと少ない。6店の総合計では465アイテム中の狭山茶は32アイテムで、占有率は6.9%にすぎない。筆者がミニ・スーパーの開店指導に当たっていた50年前には、まだ丸山園や富士製茶といったところも元気で、90cmの木製の独自の陳列台を貸出し、伊藤園抜きの売り場も小型店ではあったのだ。時代は大きく変わったものだ。これら茶葉のスペースに匹敵するほど大・中・小のペットボトルのコーナーも別にあり、これまた伊藤園が幅をきかしている。 

3.若い人を配慮の新業態開発も必要

個々の茶業者が座売りやネット直売に励んできたため、「スーパーへの卸し」という面が、空洞化してしまった。ために狭山茶の県内シェアーが20%と低い(スーパーでは6.9%)。狭山茶業振興協力会というものがあり、これが狭山茶のマーケティング機能を担当し、商品開発の例もあるようだが、狭山茶のシェアーを高めるには・・・ 

 一つは品評会似たっ多数出品し、勝って賞を得ることだ。毎年、農林水産省主催の茶の品評会が開かれ、トップの大臣賞のほかに農林水産局長賞、茶業中央会会長賞、連合会会長賞などでは多数の分野の賞が渡させるが、この産地別の2020年の受賞数を見ると、静岡13,京都12,福岡7,佐賀7,鹿児島6,宮崎3,長崎1・・・となっている。埼玉はゼロである。また「狭山茶は深蒸し茶で味が濃いい」「3大銘茶の一つ」とされるが、区分の深蒸し煎茶部門で、静岡県が6つの賞を独占しているのだ。お株をすっかり奪われた姿にあることを反省する必要がある。ためにスーパーに行けば静岡茶、鹿児島の知覧茶がすこぶる目立つ。 

 次には業界団体が完全に1本化し、茶販売機構を持ち、スーパー等へ卸せる仕組みを作ることだ。少ないアイテムでは、受発注の手間がかかり、相手にされない。伊藤園の隆盛はアイテムの豊富さ→受発注の便利さにあると言える。

   JAいるま野農協がスーパーと提携し野菜中心の直売コーナーを設置し、6~10人前後に出荷を担当させている。機構は農協と連携しスーパーとの仲を取り持ってもらう。そして直売コーナーの木製多段台の最上部に地元茶業者の品を5~10品扱ってもらう。販促のためのPOPも準備する。賞味期限も考え、古いものは引き取る。売れた分だけを締め日に合わせ受け取る。販売手数料は普通15~20%で、陳列は生産者側がする。

   機構は、合わせて茶のボトル飲料も開発し、市や公共団体、小中学校などの消費は原則「狭山産」ボトルにしてもらう。瓶詰めを引き受ける6次産業事例も秩父や栃木等にある。

   機構は若者の消費を促すには、抹茶を使った関連商品を伸ばす店を育てる。このための助成、融資などの拡充を県や国に働きかけ、店舗の再構築を助ける。若者が好むものは、抹茶を使ったソフトクリーム、アイス、搔き氷、皮に抹茶を使った今川焼、鯛焼き、抹茶をねりこんだ生ケーキ。ロールケーキ、プリン、ゼリー、大福餅等。これらはお茶より数倍も商品回転率が高く、茶業店を活性化させる。「抹茶ソフトクリーム」「抹茶今川焼」とか夏場は「抹茶搔き氷」ののぼりを立て売り込めばニュー業種の誕生となり、労力も完全燃焼する。 

4.個性としてのこだわりの強調

 緑茶そのもの1世帯の年消費支出金額は、緑茶飲料の年約4,000円を除くと約6,000円である。2017年の間に29%減少している。この原因は、本来お茶はし好品であり、多様な好みを競う場である。にもかかわらず、個別茶園が「価格が高ければ品質は良く、低ければ質が悪い」といった感じの宣伝をし、包装袋にしても自園の「こだわり」が丁寧に印刷されているのは稀で、若い世代の「差別的選択性」への配慮がない。 

たとえば、茶の味は渋み、苦み、旨み、甘みに分けて表現され、TPOに応じ選択が変わってくるはず。したがって「受験勉強や読書のともに苦いお茶」「子供さんに好かれる甘いお茶」「お茶漬けを引き立てる旨い茶」という訴えがあっても良いはず。実際の包装を見ると、消費者に差別性が伝わらない・・・国産茶(輸入品が使われている現状を暴いたことになる:逆効果)、一番茶のみ、自園茶、自製造茶、深蒸し茶、火入れ茶と言った製法上の専門的な表現が実に多い。 

茶園が乱立し、規模が小さく、個性あるものを開発し、宣伝費を掛けある程度のシェアーを得る・・・という仕組みに失敗しているように見える。高齢化の先にあるのは茶園の統合―個性商品の開発-市場の拡大ではないか。例えば「有機栽培」というのもこだわりの一つである。これから求められるのは平均的な茶ではない。ターゲットを明確にした個性商品のはず。 

 と同時に狭山茶全体のシェアー・アップに必要なのは、新聞、テレビ、ネット等にどれだけ話題を提供できるかである。「山椒は小粒でもピリリと辛い」と言った特徴が必要だ。「入間の比留間園の微発酵茶は3gで50,000円。日本一の高いお茶」というのもその一つで、「へー、日本一高値の茶があるなら、ほかの狭山茶の質も高いはず」と比較的に狭山茶の安値のものも買われる可能性が増す。話題の一の矢、二の矢、三の矢が繰り出されるようにする・・・例えば、

   小・中・高校の3段階で、茶農家訪問、茶摘み、製茶工場訪問、手より作業、茶の上な入れ方、茶の湯作法、茶の総合知識の座学・・・これらを20時間ほどかけてやり、

  後に習熟テストをして卒業書を渡す。成績の悪い人は、後日再テスト。こんなことが新聞、テレビで発信することも大いに狭山茶のPRにつながる。

 ②キャンプがはやりである。河川敷では規制が強まっており、茶業農家の広い敷地をキャ      ンプに開放。茶の作法を学んだり、抹茶入のケーキ類ほかを創ったり、抹茶かき氷をたべたり、茶畑や加治丘陵へのハイキングも実施・・・こんなことも新聞・テレビ種になりうる。 

5.アンテナショップは大赤字に

 市では「狭山茶の産業振興のためアンテナショップを開設するとともに、狭山茶の海外輸出を支援し。販路を積極的に拡大します」としている。いま東京都内にアンテナショップは55店あり、うち42店が都道府県、13店が市町村のもの。1,800市町村の数から見れば、市町村のアンテナショップは1%未満の稀有な例で、稀有な例の仲間入りを考える発想が異常すぎる。 

なにせ入間市はお茶くらいしか特産品が見当たらない。この特産品は県内でも20%未満のシェアーか取れていない。だから本来なら県内シェアーをいかにして高めるかが重要課題。ましてお茶は年購買頻度8回ほどと低い商品。これを核にして店舗を設けたら、日本一客足の少ないアンテナショップになること間違いない。魚、肉、果物、酪農製品など生鮮品や日配品(牛乳、卵、豆腐、納豆など)の特産物が沢山あれば、来店頻度も高まるが、お茶は対極にある。ほかの特産品で名の出てくるのはサトイモ、ウド、シイタケ、繊維、織物である。サトイモやウドは頻度が高いと言え、わざわざ都心に出てきて買う品ではない。観光資源となると、これまた茶園、加治丘陵、三井アウトレトモール、ジョンソンタウンくらいで、観光の宣伝効率が上がらない。 

北海道は、県の「どさんこプラザ」が有楽町、池袋、吉祥寺にあり、「北海道フーヂスト」が八重洲や新宿に、「北海道うまいもの館」(市の物産館)が町田、立川、八王子、台場にある。観光で行ってみたいところが山ほどあり、そこで味わえる食品も海産物、酪農製品と豊富・・・旅行の夢を店舗が実現しているからいずれも繁盛している。残念ながらこ入間市にはこれらの条件がない。ましてや、茶の輸出までプロモーションするとなると、外国語に長けた人材も必要で、地代・家賃だけでなく人件費も膨らむ。「輸出などは商社にお願いしてすべきもの」と指摘する声が強い。だが先に述べた通り、県内、県外のシェアーを高める努力が先決である。

そのためにはアンテナショップを選ぶのでなく、楽天やAmazonの成功に見習いネット及び通販の活用を進めるべきである。市でも宣言のなかで「ゲートウエー構想の推進」(通信手段の異なる2者の間を中継し1本化する機器とかソフト)を掲げているが、茶業者がすでに行っているホームページ、ブログ、フェイスブックなどでの情報を一元化し、かつ狭山茶の価値を高める情報を収集し、常時アップしていく・・・こうした宣伝法であれば、地代・家賃は不要で、ITやネットに強い職員1人、茶業界を取材して記事にする職員の2人もいれば相当なことができる。費用はアンテナショップの10分の1もかからないはず。


 

 

2021年7月17日土曜日

加治丘陵や茶畑の観光価値はー入間市政チェック①

  新市長の杉島理一郎氏は、就任時38才という若さである。小さいころはバイオリンやピアノ、野球に親しみ、早稲田大学政治経済学部を出て、松下政経塾でも学び、東日本大震災の被災地支援やアメリカの長期視察も経験、その後県議も2期務めた・・・申し分ない素質と経験の持ち主だと思う。ぜひ頑張って希望あふれる入間市にしていただきたい。 

1.英文字が目立ち内容理解できない

市のHPに出ている「来てよし、住んでよし、働いてよし…の街:入間を目指す公約集「入間市RISE UP宣言」が出ている。「6分野30本の政策宣言十9本の条例宣言+3つの行動宣言」と計41の宣言が記されている。今後の市政の根幹をなす改革案と考え、意見をのべてみたい。宣言には横文字が多く、その注釈がほとんど出ていない。市職員でも50%、一般市民となると80%近くが、正確な内容をつかめないはず。RISE UP は「奮起」とか「立ち上がる」の意味だが、「入間市奮起宣言」でなぜいけないのか・・・まずこの点がひっかかる。 

41の宣言に含まれる英文字は・・・デジタル未来都市:AIIOTを活用した地域課題の解決:入間版CDC:入間版FEMA:入間ゲートウエイ構想:クラウドファンティングの推進:シティセールス:ケアラーの支援:ノーマライゼーション:GIGAスクール構想:SDGsを活かしたまちづくり:リバースメンター制度・・・以上については最後尾に英文字と注釈を紹介するが、内容が推察できる人が何人いるか。 

2.人口対策がほとんど無し

そして宣言をもとに,「市民他の衆知を集め難局を乗り越えていく」としているが、あまりにも多くの分野について改革を予定し、宣言や条例づくりに時間を要するだけでなく、予算や人材不足に陥り、総花過ぎて逆効果が出そうに思えてならない。「今まで何をしてきたのか」という疑問も残る。また限られた予算の中で、何を重点にして行けば一番市民に喜びと誇りを与え、市が健全に機能するか・・・という視点が抜けている。横文字多用も、「他市に遅れない平均点な政策の推進」と思えてならない。入間市としての個性はどこに?である。 

前の田中稔市長も、杉島市長も、「人口減少は自然の趨勢で避けて通れない」と姿勢が見てとれる。ために人口増についての施策が宣言24の「子育てパパ・ママの負担軽減」くらいしか見当たらない。これでは税収減→縮小均衡のくり返しになる。人口増加の市町村の共通項は「通勤や通学の便利さ」となっている。人口がさらに減少すれば学校や公共施設の統合などを先々またやる必要が出てくる。人口対策は日本全体の浮沈に関する重要問題であり、「人間いかに生きるのが幸福か。結婚、出産、子育て、家族団らん、親・子・孫と互いに支え合うことの喜び、孤独死のむなしさ」・・・こうした問いかけからスタートし、例えば待機児童のゼロ目標、工業団地における企業経営の保育園増設(県の補助あり),児童手当の市独自の上乗せ、出生祝い金の支給、市へ流入する世帯への奨励金、男女交際・結婚促進の多様なイベント充実・・・などを考えてもらいたいものだ。  

同時に、特殊出生率、人口増加、幸福度等が各日本一の市町村に市職員を派遣し、大いに学ぶ必要がある。息子は神戸市のはずれに住んでいた。住宅団地の多いニュータウンであったが、子供は2~3人は当たり前、息。子夫婦も3人の子を設けた。市の雰囲気づくりで、子育ても変わるはずだ。「子育て環境日本一」といったことになれば視察者も増え、観光面でも成功を収めることになる。 

人口増加策の原資は、宣言42項目の不適正項目のカットや建築・土木関係投資のムダ削減で得るべきだ。例えば、16号線と入間市駅方向に通じる299号線の交差点では、完成図も示さないまま、霞川の護岸工事他が長期にわたり進んでいる。また所沢への近道の463号線の武蔵藤沢近くでは道路の拡幅工事が進んでいるが、所沢から来ることはできるものの、所沢に向かうことができない状況が長く続いている。こちらも完成図が無い。商圏が分断され、武蔵藤沢駅寄りの商店は多大の損失を受けているはず。 

市側の経費負担があるか無いかは不明だが、工事の休みの日も多く、工事の長期化で膨大な無駄な予算が使われているはず。また、仏子の中橋が立派になったが、左右の歩道が各1mカットしてもさほど通行に支障があるとは思えない。「左右2mで何億円も浮いたはずで、これを子育てに回していれば、どれだけよろこばれたか」と思う毎日である。 

3.ゲートウエイ構想とはなんぞや?

 今回は観光資源とされる加治丘陵や、茶畑に近い仏子に住んでいるため、優れた自然環境をいかに生かすか、といった環境・観光政策を中心に、意見を述べたいと思う。(市の)宣言11に「入間ゲートウエイ構想による観光戦略」とある。「入間市は地域資源と都心に近い立地環境を生かし、市の新たな魅力を作るため、入間ゲートウエイ構想による観光戦略を推進します。具体的には入間インター周辺の渋滞対策と観光PRを実施し、入間市5駅の魅力アップによる新たな賑わいを創造。加治丘陵や入間川などの自然環境や既存の文化的、伝統的な地域資源がいまは観光資源として十分に活用されておらず、これ等を積極的に活用して新たな魅力づくりに着手する。

5駅の賑わいの創造

   仏子駅は加治丘陵、入間川の自然への入口と位置づけ、観光ルートを整備。

   元加治駅は阿須・あけぼの公園へのアクセスの利便性向上を考え南口を設ける。

   金子駅は広大な茶畑の入口と位置づけ、観光ルートを整備。

入間市駅、武蔵藤沢駅については記述なし。 

「ゲートウエイ」についての説明がないが、これは「相性の悪いネットワーク間を上手につないでくれる機器やソフト」ということのようだ。つまり上記の観光資源を各種のネットワークで宣伝されているものを、統合した形で見れるようにし、宣伝効果を高める・・・と理解するが、宣伝手段と観光資源開発の問題がごっちゃになった用語で正確さを欠くのではないか。ゲート=地域の門に当たる駅。ウエー=道。組み合わせて駅と観光道路の整備を・・・と理解する人もいるはず。 

4.いまは金になる観光資源がない

  この構想の後半には「入間市は都心から近かい恵まれた立地環境にあり。市外から訪れる人の通過型観光になり、地域に金が落ちない」と言う現実が書かれている。まったくそのとりで、入間市の施設で金を落としてもらっているのは、三井アウトレットモールとジョンソンタウンくらいと言えるだろう。観光とイベントは表裏一体だが、万燈祭り、黒須町の茶祭り、入間川の花火大会にしても、外部の出店業者から5,000円?とかの出店料を取り運営費の穴埋めにして助かっているが、主に外の業者には金が落ち、地元商店や商店街にはほとんど恩恵が及んでいないように思う。

 写真① 釈迦の涅槃像にも似た加治丘陵 

  加治丘陵や入間川河原めぐり、茶畑めぐりにしても、半日­=せいぜい4時間以内で回れれ、遠くから来るにしてもリックに弁当、飲料、菓子を詰めてくれば、一部忘れたものを駅近くのコンビニで買う程度。逆にトイレを拝借したり、ゴミを捨てて帰る人もいて、地元の負担増が生じるのが実態である。 

5.金になる仕組みつくりに全力を

 金子地区の広大な茶畑、加治丘陵や桜台展望台、桜並木もある入間川・・・こうしたものが、ただちに収入を生む観光資源と考えるのが間違いである。むしろ第一ステップでは、「市民や市外の人に、景観探訪や健康増進のため、散歩やハイキングに来てもらう」という 軽い気持ちで、投資を軽微で済ますべきだと思う。 そもそも観光地とはなにか。観光資源の特異性が高く、遠くからも行く価値がある。となると記念のために「何か土産を」、お弁当だけでは足りず「飲食店に入る」、今日中に帰れないので「旅館に泊まる」といった具合で土産屋、飲食店、旅館が集積し、多方面で金が落ちる場所といえる。

 今の入間は、資源としながらも、実態は最低のPRもされていない。仏子駅構内に加治丘陵の桜台展望台や茶畑に至る説明板もなければ、南口を出て展望台や茶畑に至る途中途中の矢印表示板もない。これは金子駅から茶畑に至る道についても同様である。構想では「観光ルートを作る」の言葉もあるが、自然観察や環境保全を考えれば、いまさらきれいな駅や道路を作る必要もない。50人や100人が縦に連なって歩ける道はすでにあるのだ。実際に観光事業として儲けを生むようにするには、滞在型の茶業、林業、農業体験教室などを丁寧に実施し、もっともっと来訪者や地元のメリットを追求する仕組みが必要だ。

 現に農業回帰の若者が増えているなかで、宮寺地区に「ぼくらの農園」というのがある。求人し雇用し研修をしてもらい、将来独立して農業をしたい人には土地を手配し、農業機械を貸出し、販売ルートも紹介する」というものだ。こうしたシステムであれば雇用も生まれ地元の消費が増加、耕作放棄地の解消にも貢献し、地元所得も増える。直売所もやれば利便性も増し、人も金も集まり「三方良し」である。 

6.加治丘陵と茶畑の一体観光開発

  一般畑作なら、上記の好循環体系が可能だが、茶業経営となると実習希望者が得にくく、アイデアが浮かばない。茶業者が集まり、広大な茶畑の景観を見に来てもらうだけではなく、将来地元に貢献する仕組み作りについて話し合いを持つべきだ。仕組みができれば、加治丘陵に来た人たちに金子側に下ってもらい茶畑も見てもらい、お茶中心の直売所を設け、ここで買い物をしてもらえる。野菜農家の拡大策も必要になる。金子側からバスや電車で帰るハイキングコースも確立できる。

写真⓶ 金子の見渡す限りの茶畑 

また茶業試験所―博物館アリットと足を延ばしてもらえば、アリットでは茶業の展示や各種イベントもあり、茶業全体の理解も進む。アリット近くには大規模ハウス4棟で自家製の花苗や仕入れ苗を扱う、立派な「大の園芸」というのもある。沢山の食品工場もあり、これらも見学コースも付加し、アリットからバスで最寄り駅へ出て帰ってもらうことも考えられる。コース案内1人1,000円とし、「銭の取れる観光案内コースを創る」といった目標設定も時に必要である。 料金を取るとなれば、当然「語り部」と言えるガイドが必要になる。沢山の地元資料も渡し勉強をしてもらう代わり、最低3時間コース1回5,000円、5時間コース8,000円位の報酬を見込む必要もある・・・この程度であれば有償ボランティアと理解すべきだ。

加治丘陵については、市がログハウス等を建てるなどし、公募して林業希望む者数人に入植してもらい、既存の林業ボランティアの助けも借り、林地の管理をしつつシイタケ栽培、木材加工(積み木や置物)、アウトドア生活を組み合わせる。山遊びの遊具も揃え、貸しテントを多数用意し、最低1日、最大7日間くらいの滞在型の体験教室も開く(ただし雷雨などの際、地元集落に避難できる配慮が必要)。今の子供さんに求められているのは自立心の育成である。親御さんも潜在的に「子の自立」のニーズを持っているはず。安全確保に充分配慮し、1泊千円といった料金収入を得れば、林産加工品の販売もあわせ、自立した拠点づくりも可能である。毎日相当数が山道をジョッキングしており、喫茶つきの休憩場があれば山歩き客を合わせた人的交流にも役立つ。 

7.サイボクや川越の賑わいを知る

要は、目先の観光収入を目指すのでなく、長く見て地元の発展に寄与するアイデアの実行が大切なのだ。埼玉の観光地として成功しているのが日高のサイボクハムであり、小江戸といわれる川越市であるが、これらは長年の艱難辛苦とアイデアがあって出来上がったものだ。 

サイボクのばあい、戦地から引き揚げてきた笹崎辰雄氏(故人)が、昭和21年9月から広大な荒れ地を開墾、日本一優れた豚肉を生産するため外国からランドレース、ハンプシャー、デュロックなどの品種を入れ、ヨークシャー種に掛け合わせ三元豚の美味な肉・・・ゴールデンポーク、スーパーゴールデンポークを生み出した。これをハムやソウセージに加工、加工肉の本場ドイツの品評会で数々の金銀銅賞(相当前で753個)を受賞してきた。豚や牛の生産拠点を地方に移し、広大な用地が浮いた。この広い敷地を利用しレストラン、スーパー、ファーストフード・コート、農産物直売所、ミニゴルフ場、遊園地、豚の広場、天然温泉・・・とレジャーランド化もできたのだ。私は前から「いまは切り話されているが、背景にある広い豚や牛の放牧場を撮影し、これをボタン1つで放映する施設があれば、画龍点睛になるのだが」と言い続けているが、その気配がないのが残念である。 

川越にしても、京都や奈良のように1000年以上の古い歴史の街ではない。1893年(明治26年)の大火で17町が消失。焼け残ったのが蔵造りの家で、大火後コストはかかるが競って蔵造りにした。したがって蔵造りの町並みは138年の歴史。戦後の復興期には「かっこうが悪い」と一時はパラッペットで蔵造りの上部を隠していたそうだ。だが1983年(昭和58年)になり、市街地の活性化をはかりたいと商店会のひとだけでなく、住民、建築家、街づくりの専門家、県や市の職員も加わって「川越蔵の会」が発足、2002年(平成19年)12月にNPO法人化に進んだ。いまでも200人ほどが参加している。街並み全体の蔵造り、さらに電柱・電線の地中化で歩きやすく、買いやすい街づくりにも進んだのだ。今は幸福度が日本一の都市に選出されている。 

  時間と多数の人々の頭脳と努力があって、初めて繁盛観光地になることを知る必要がある。入間市の基本構想の観光編は、市の思いつきが先行し、現場の実態がつかまれていないのではないか。一つの個性として「子供さんの農・林業・環境の体験教室日本一」といった挑戦も選択肢である。

(補筆予定)観光と密接不可分な下記を扱う

 アンテナショップ開設の問題

 プロスポーツチーム誘致の問題

英文字の注釈

デジタル未来都市:コンピューターですべて制御された人に優しく過ごしやす都市。

AIIOTを活用した地域課題の解決:Antificai Intelligenceinternet of Things Lotが収集したデターをAIが分析して、何らかの有用な情報や価値を生み出す。

入間版CDCCenter for Disease Contorol 疫病対策センター。

入間版FEMAFederal Emergency Management Agency アメリカの連邦緊急事態管理庁。

入間ゲートウエイ構想:gateway 通信手段の異なる2者間を中継する機器とかソフト。

クラウドファンティングの推進:Crowdfunding インターネット等で、やりたいことを紹介。賛同者から資金を集める。

シティセールス: City Promotion 市の魅力を育て発信し、支持者を得る。

ケアラーの支援:carer 介護や看護、療育が必要な人を、無償でサービスにあたる家族や近親者。

ノーマライゼーション:Normalization 障害者等の社会的弱者が、一般の人と同じにせいかつできる社会。

GIGAスクール構想:Global and innovation Gateway for All 義務教育を受ける児童1人に1台の学習用PCや高速ネットワーク環境を整備。個性に合わせた学習。

SDGsを活かしたまちづくり:Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標。

リバースメンター制度;reversementring method 若手がベテランを指導する制度

2021年7月5日月曜日

哲人・サイボクハムの笹崎会長(故人)に学ぶ

 農業版のデズニーランドを目指す埼玉県日高市のサイボクハム・・・正式名称(㈱埼玉種畜牧場の会長・笹崎龍雄氏が平成24年10月25日にし他界された(96才)。・・・本稿は近藤の別のブログ「農業・商業お助けマン」に2013年1月13日に書いたものである。仏子に近いので、こちらのブログに移し変えた次第である。



(写真)故・笹崎龍雄会長 著書「わが輩は豚であるⅡ」より 

 故人は農工大の大先輩であり、友人や当方がかつて雇った助手も、牧場に勤め、お世話になった。当方が直接お会いしたのは今から7年前だ。「食品業界研究会」という会の仲間10人ほどで訪問したのだが、事前に「後輩であり、環境問題のHPも開設しています」と手紙を出したところ、当時89才という高齢をおして、自ら1時間ほどの講演をしてくれた。「理想を高く設定し、オンリーワンを目指す。そうすれば多くの人に支持され、競争の圏外に立ち、繁栄も可能になる」というのが話の中心だったように思う。

 帰りには著書「生活革命」(ビジネス社)を購入した全員に、サインをしてくれた。「わが輩は豚であるⅡ」という著書を余分にいただいた。その後、年賀状を交換したものの、直接お会いしたのは別途2回だけ。だが、自宅から車で15分と近いため、たびたび勉強がてら訪ねてきた。

 故・笹崎会長はたぐい稀な実践的経営者であり、同時に「学識豊かで、かつ優れた思想を持つ哲人」であったと思う。講演の際も「他人に頼らず、総て自力で今日を築いた」と言われたが、畜産だけにとどまらず、中国の古典、儒教や仏教の教えをはじめとした多くの本を読まれ、総知・総力をもって、人間が求める究極の楽園を実現しようと努力された方だと思う。これは「生活革命」に先立つ著書「楽農革命」も併せて読むと分かる。前者の11章には「私の座右の銘」として孔孟の教えにもとずく貴重な4文字熟語が多数収録されている。

 「農業の6次産業化」という言葉すらない時代に、食肉加工ーそのミートショップー農産物直売所ーレストランという付加価値販売を手がけてきた。「1次、2次、3次の際崩しをし、4次産業を創造する」という表現が印象的である。

 そして①ミートピア、②アグリトピア、③ライフピアと進化させ、農業のユートピア作りを埼玉の一隅と、宮城、埼玉県鳩山町、山梨県の3牧場を背景としてで実現してきたのである。これは豊かな楽農文化、美味しい食文化、楽しい生活文化の統一を意味する。改めて、故人の足跡とライフピアの現状を紹介したい。
 
 1.その歴史と栄光
    故・笹崎会長は復員後の昭和21年9月に「武蔵野エリア」の現在地にサイボクを創立、当初は牛、豚、鶏の品種改良の総合基地だった。昭和36~51年にかけイギリスやアメリカからランドレース、ハンプシャー、デュロックなどの豚の原種豚を入れ、日本における豚の品種改良をリードしてきた。農林水産大臣賞や多数の県知事賞も受賞している。

  改良の頂点近くにあるのが美味な「サイボク・ゴールデンポーク」である。黒豚もを交えた最高品質で、ロース肉100gが470円で直営ミートショップで販売されている。しかもこれまでに、全国に向け優れた種豚12万頭以上を供給し、実習生も気楽に引きうけ、養豚関係の実務指導者を2,000人以上も国内外に送り出している。

  故・笹崎会長は16冊以上の著書を書いているが、「実地経営・養豚大成」(養賢堂)は、再版50余回を重ね初版から40年に及ぶバイブル的なロングセラーとなり、中国でも翻訳されている。

  オンリーワンを目指す「本物志向」とは、上記の改良しつくされた美味でヘルシーなゴールデンポークそのものと、これを原料とした無添加・無着色で製造したハム・ソーセージなどの肉加工品、惣菜を意味する。ハム・ソーセージの本場ドイツのDLG(ドイツ農業協会)国際コンテストほかでハム・ソーセージ、調理食品で獲得した金メタルは平成24年3月現在で753個に及ぶ。このほか調理人としてのメタルも獲得している。ドイツでは「肉生産からスタートして、良品作りをしているのがすごい」と称賛を受け、毎回客員審査員を送り出しているほど。 
(写真)カフェテリアが
ズラリと並ぶ
 
(写真)ステーキやバーベキューの大規模レストラン

 オンリーワンは①他にない優れた商品、②他に見られぬ生産―加工―販売―消費を一体化、③さらに他にない「やすらぎ」や「いやし」という精神的潤いまで付加した生活空間の創造性・・・といった場面で発揮されている。

2.年385万人が利用

日高市の牧場は敷地3万8,000坪だが、「牧場」と名がつくものの、現在は多くの豚や牛にはお目にかかれない。豚の生産基地は日高市鳩山町、宮城県栗原市(黒毛和牛も飼育)、山梨県早川町に移され、そこで「ゴールデンポーク」「スーパー・ゴールデンポーク」という最高の肉質の豚が年3万頭ほか肉牛が生産されている。牧場の地方移転は、環境問題もあるし、人の出入りが多くなれば、伝染病にもかかる・・・という点でやむおえない処置だと思う。

    本部もある敷地には、豚肉の精肉やハム・ソーセージの加工場、直売スーパー、レストラン、カフェテリア、野菜・花・米を中心とした農産物販売所(地元生産者と提携)、天然温泉(これは泉質から防ぎきれないレジオネラ菌のため、24年末で閉鎖)、ミニ・ゴルフ場、やすらぎ広場などがあり、全国から集められた数百本の銘木、数千の銘石も配置され、日常性と憩いを兼ね備えた一大レジャー施設である。 

 900~1000台の駐車場があり、ほとんど宣伝をしていないのに、土・日曜には2~3万人、年385万人が訪れる・・・とされ、埼玉の川越市に次ぐともおもわれる賑わいスポットである。土日は押すな押すなの盛況で、駐車場や公園風広場のベンチの空きを探すのにも苦労する。肉、加工肉、パン、PBブランドの調味料、野菜、米、茶、花、ファースト・フードなど日常性も高いものを販売しているため、ほとんどがリピーターであり、観光気分で記念写真を撮っている人は皆無である。

3.農産物販売所ゾーン

野菜や花の農産物直売所=昭和50年に「高萩生産者直売場」として開設されたが、販売が追いつかなくなり、平成11年に「楽農ひろば」として拡大改装、現在は実測によれば売り場178坪、レジ6台。レジ台数から推定すると年9億円ほどか?

 周辺には①米屋専門店、②果物店専門店、③狭山茶販売店が配置され、広場やひょうたん池もあり、ジャンボなフランクフルト150円やスペアリブ350円のバベキューが売られている日もある。15キロ詰めの特製「豚糞堆肥」も売られている。   (写真)「楽農ひろば」

 

  直売所は牧場で作った堆肥を供給し、良質の野菜を供給してもらうため、65戸の生産農家「楽心友会」を組織し、運営に当たっている。農薬、化学肥料を半分に抑えた県認証の「元気満彩」シールの貼られた特殊栽培品もある。最近見たところ、ホウレンソウ1束190円、ニンジン1袋90~110円、長いも1袋330円、ジャガイモ1袋160円、サツマイモ安納1袋260円、ネギ1束170円の6品が置かれていた。レストラン等の野菜も、この直売所から総て調達している。

 90×180cmの平台換算にして、壁面まで入れ58台分もあり、半分は地元生産者の野菜、半分は仕入れ品で、品ぞろえは豊富。1月の例だと壁面2段台のネギ、ダイコン、ニンジンなどは各9人が出荷し、2尺ずつ上下、上下と使って陳列しているほど大量販売している(1品18尺)。ホウレンソウ、コマツナも各5人ほどで各6尺の陳列。13%ほどの委託手数料と聞いている。

4.レジャー・ゾーン
 
   レジャーゾーンは①陶芸教室、②パークゴルフ、③やすらぎ広場、④豚が数頭のみいるトントンハウス+アスレチック(子供さん対象の広場)からなる。パークゴルフ場は1本のクラブでプレーするミニ・ゴルフ場。36ホールあるが、将来はさらに拡大の予定。毎月サイボクPG大会も開催されて100人以上が参加している。

 もともと牧場跡地であり敷地は広いが、ミニ・ゴルフ場ややすらぎ広場を除くと、比較的狭い200mほどの範囲にコンパクトに施設が配置されている。農、食、文化、やすらぎが融和したライフピア構想のためには、もう少し広がりが欲しいように思っている。

 つまり農業体験できる畑やハウスもある。山羊や羊、兎、鳥類といった小動物と触れ合える牧場もある。そして豚や牛は直接触れることがなくても、小型のシネマ館で、スクリーンを通し飼育ぶりが分かる・・・こんな舞台を、子供さんのためにも、自然派の大人のためにも、ぜひ実現して欲しいと願う1人だ。

   改めて「生活革命=ライフピア」の著を見ていたら、故・笹崎会長自身、上記のような姿を「今後広い敷地のなかで追求したい」と書いてあった。意見が一致していて、嬉しい限りである。

2021年7月3日土曜日

埼玉県の幸福度は29位-所得だけが総てではない!

 

 毎年、株・ブランド総合研究所というところが、各県340人ほどを対象に選,び、幸福度ほかの調査をし結果を公表している。ここに紹介する幸福度は2020年春のものだが、すでに2021年春のものも一部ネットに紹介されている。なお「あなたは幸福ですか」の回答を5段階に評価し、整理した結果である。 

 コロナ禍の影響が出ている昨年6月の調査だが、どこも同じようにその圧迫を感じており、極端に各県の幸福度に影響は与えないはず・・・と考え表の数字を見て欲しい。またどういう採点をするのか不明だが、最高点の宮崎県の74.0点に対し、最低点の秋田県は61.1点で、その差は12.9点で大幅な差があるわけでもない。だから抜きつ抜かれつで、1年で26位から6位に順位を上げた鳥取県のようなところもある。

 特徴は上位15位までに、沖縄や長崎を除く九州6県の西南暖地に属する県が多数入っている。世帯年収の2020年ランキングからすると、沖縄は47位、宮崎45位、鹿児島44位、大分39位、福岡38位、佐賀34位、熊本33位で低い県である。幸福度と所得の高さはあまり関係がないことが分かる。ただし気候が温暖なため、光熱費の圧迫が少なく経済的に楽なこともあり、気分も開放的で近所付き合いも活発になり、毎日が楽しいといった姿になるのでは。 

 15位までに福井、石川、鳥取、冨山の北陸・山陰の4県も入っている。こちらは逆に1世帯所得は福井2位、冨山6位、石川8位、鳥取18位と所得は上位。

   北陸3県については共働き主婦が37.1~42.6%(全国平均28.1%)と高く、農家の総所得も突出して高い。女性や農家の別なく働く場があり、経済的なゆとりと男女平等に近い職業人であることが幸福度を支えているのではないか。 

 幸福度についての全国83都市の調査では、川越市が1番となっている。歴史の遺産をみんなで再構築し(電線も地中化)、観光地として成功した誇り、そして高い所得を得ていることが幸福度を押し上げたといえそうだ。なお埼玉県の幸福度ランクは29位で、1世帯所得の方は10位である。 

写真:川越の蔵造りの町並み

 最後になるが、幸福度について心理学の分野の第1人者エド・ディナー氏は「生活に満足し、喜び感ずることが多く、悲しみや怒りと言った嫌な感情あまり感じいならば、その人は幸福度高い。反対に生活に不満があり、喜びや愛情をほとんど感じず、怒りや不安のような嫌な感情を抱くことが多いならば、その人の幸福度はひくい」としている。

 

 

2021年6月9日水曜日

テレビで人気―スパー・アキダイ(東京練馬区他)

 

  アキダイやその社長の秋葉弘道氏は、2019年の流行語大賞のトップ10位入りし、

「軽減税率」を現場目線で良く説明したとして表彰された。テレビの挨拶でしゃべる内容を

忘れてしまったが、これもご愛敬と、ますますの人気者である。 

 アキダイは東京の練馬区、杉並区に青果に強い小型スーパーを6店展開し、ほかに手作りパン工房、炭火焼き鳥、飲食店も各1店持つ。私の娘も練馬区に住むためちょくちょく練馬区関町の本店を利用する。私自身も昔、青果店の総合化のチェーン「みどりチェーン」を組織したり、青果や乾物を個性とする小型スーパーの開店実務指導をしてきた。だが大型スーパーが増え、私の手掛けた青果出の小型スーパーは多くがのこっていない。こうした中、今も繁盛しているアキダイを見たくて、1度関町の本店を訪ねた。西武新宿線の関町駅から2分とほどの住宅地のなかの店舗。間口12.7m×奥行23.6m=約300㎡、レジ3台、今標準的スーパーは1,000㎡~1,500㎡だから、小型スーパーの部類に違いない。 

個性を青果に求めておりその品揃えは並のスーパーをしのぐ。鮮魚や精肉、加工食品は売れ筋にしぼり扱う程度だが、ワンストップ(一か所で揃う)の便利性に配慮している。 

 個性の一つはテレビでさんざん見ているように、商品とりわけ青果についての商品説明力だろう。HPを見ると店長メセージとして「ここ本店ならではの品揃えに自信があり、アットホームなお店つくりを心がけています。お気づきの点がございましたら、スタッフにお声をかけてください。アキダイにしかない、自家製お漬物しょうちゃん漬を心をこめて漬けております。ぜひ食べて頂けたら嬉しいです」とうたわれている。小型スーパーとして顧客との対話や、個性商品(漬物)を重視しているかが見てとれる。 

なぜアキダイがこれほど有名になったんだろうか・・・「軽減税率」だけでなく、やはり毎日のようにテレビに登場し、野菜や果物、その他生鮮品などの生産や価格の動向をしゃべってくれるからである。一般のチェーンスーパーは地区本部長―店長―現場の部門チーフー現場職員・パートと言った具合に、仕入れや販売について横割の分担制が確立、売り場のチーフであっても市場や生産地のこと、相場の変動のこと、料理や栄養価のことなどあまり知っていない。 

間違ったことをしゃべるとストア全体のイメージが傷つく・・・との思いから、テレビや新聞の取材を「本部の許可なき場合」は受け付けない。対話面で一般スーパーは「冷たさ」を感じるのは私だけではないはず。アキダイの強さは消費者やマスコミに積極的に情報を開示し、顧客の信頼を得ていることではないか。またこと青果については生産動向・市場動向に通じているから、「今なら買い進む」「今は仕入れを手控える」といった知識を持っているため、こと青果については一般スーパーに比し常時安く売る体質を持ち、これもまた繁盛に結びついているように思う。

(写真:私も撮影してきたがメモリーに転写する際に消え、HP掲載の写真を拝借)