Ⅰ.家庭教育力の低下=2/3がイエス
少子高齢化や人口減少が急激に進んでいる。喫茶店に行くと、好青年なのに40才、50才で独身者の方にも多数出会う(農村に出向いても同様である)。一方。大学を出ていて45才にもなるのに定職を持たず、週2~3回のアルバイトをするだけで「老後は生活保護をもらえば良い」と言い放つ過保護で育ち、世間知らずな人もいる。生活保護には厳しい要件を満たす必要があるからだ。
恋愛できない、結婚できない、経済的な自立が出来ない・・・では、明るく楽しいファミリーの再生産は不可能である。世帯数や人口も減って、日本の先行きは真っ暗である。これらの現象は、家庭教育力の低下と不可分である。「親の顔を見たい」と、言いたくもなる。
教育には学校教育、家庭教育、地域教育の3つの領域がある。国立教育政策研究所というところの「家庭教育力の低下について」の調査をしているが・・・
① 全くその通りだと思う 17.8%
② そう思う 49.4%
③ どちらとも言えない 17.9%
④ あまりそうは思わない 10.9%
⑤ 全くそうは思わない 1.5%
⑥ わからない・無回答 3.0%
「家庭教育の低下」を肯定する回答が①+②と合わせ、実に67.2%=約2/3になる。学力の向上は主に学校教育が担い、家庭教育は人間として生きていくための、生活習慣やマナー、生活能力や自立心を養うことが中心だと思う。地域教育は家庭教育との結びつきが強く、地域全体の見守りを通じ、家庭教育を補完する要素が強い。
残念ながら今の日本は、家庭教育の能力を低下させる要素があまりにも多い。たとえば・・・
① 核世帯化・少子化が進み、祖父母や兄弟姉妹という家庭教育の補完する人が身近にいなくった。
② 子どもが少なくなり、経済生活も50年前にくらべれば一般に豊なため、過保護がまかり通るようになり、自立力の育成とは逆の流れにある。
③ 高度成長時代と異なり、ご主人も仕事面のストレスが多く、家庭教育に参加できないとか、していない場合が多い。
④ 家庭教育の中心的な担い手である主婦も、専業主婦が大幅に減り、子供に接する時間を取りにくくなった。
⑤ 学校教育は学力アップ・受験勉強中心になり、「人生の生き方を丁寧に教える場」になっておらず、家庭での人格形成の負担が増えている。
⑥ 情報通信の発達、多様なメディアの発達で、多様な価値観が氾濫し、何が正しいかの判断がむつかしくなっている。
⑦ 個人尊重の風潮が強くなり、家庭内のコミュニケーションが図りにくい現実も広がっている。
・・・まだまだあるが、とりあえず主要要素のみ。以上の悪条件を頭に入れ、なお「気軽に家庭教育」が進められるよう工夫が求められる。
Ⅱ.家庭教育の基本
学校教育は、勉強を通じ職業人(芸術・体育等含む)、社会人としての能力を高めることが中心だが、家庭教育は文部省の指導書によれば・・・(ただ家庭教育の内容を示すだけでなく、その目指すところや方法論についても一部示した。)
① 生活習慣や生活能力を得る。→親や友達の動きから気軽に学べる
② 自立心を育てる。 →甘やかしをやめ、自分で考え行動させ、責任を持たせる
③ 他人への思いやりを養う。 →人間社会は支え合いがスタート。愛の原点
④ 豊かな情操を養う。 →人への思いやりや美意識があれば自然身につく
⑤ 社会的なマナーを身につける。 →同上
⑥ 善悪の判断を養う。 →同上
だが私は「勉強への意欲がわかない」「働く意味が分からない」「大学を出ても働かない人」「結婚したくない」といった若者を見るにつけ、①~⑥に先立つ大切な要素が他にもあると思う。たとえば・・・
⑦ 個性を発見して伸ばし、自信を育てる。 →個性を伸ばすのは楽。成果は自信につながる!
⑧ 学歴とか就職先といった目標ではなく、社会貢献意識を持たせる。 →進路や職業の選択に関係する最もたいせつな要素。親の職場の見学、ボランティア活動にも触れさせる。
⑨ 学びや体験の楽しさを教える。→すべて進んで一歩先を行けば楽しいもの。
⑩ 価値創造の楽しさを教える。 →今日本経済が求める新「物・こと創り」への興味を養う。
⑪ 男女の愛の大切さを教える。 →恋愛しない、結婚しないを是正するために、夫婦の愛情表現が大切。
Ⅲ.家庭教育の進め方
家庭教育は学業と関係を持ちつつも、「人間づくり全般」の教育だと思う。その領域は広く、だからといって「詰め込み主義」になれば、学校教育の重圧も加わり、子供はつぶれてしまう。親も同様に疲れてしまう。負担にならず、楽な気持ちで家庭教育を進める方法はないか・・・ある。
「子は親の背を見て育つ」と言われる。毎日の生活の中で、父母が「人に誇れる後姿を見せ続けること」が出来れば、家庭教育の半分以上が達成される。夫婦が互いに自分で判断し自立性ある行動をする、思いやりを持って他人に接する、さらに真剣に働く、学ぶ、遊ぶ、運動する、愛し合う姿・・・こうした姿を、そのまま見せれば良い。親は子の視線を感じ緊張し疲れるかもしれないが、特別に時間を要するわけではない。自らも勉強し子の手本となる姿を見せ続ける必要がある。
見せるだけでなく男子・女子問わず、時に「助けてね」と買物、料理、掃除、洗濯など手伝ってもらい、体験型の学習もしてもらうのも良い方法だ。「お料理を手伝えば、自分の好きな料理を自分で作ることができる」(女の子)、「食後に食器を洗ってね。清潔に努めれば安心して食事ができるでしょう」(男の子)と
手伝いを促すことが大切だ。
「見せる」「手伝わせる」の次は、子供と距離を置いた「遠巻き型・自由放任主義」を提案したい。「ヘリコプター・ペアレント(親)」という言葉がある。ヘリコプターのように、子の頭上で常時ホバリングして監視、トラブルが起きればすぐ降りて来て、あれこれと世話を焼く過保護の親のことだ。子は自立心を欠くように育ち、反抗的にもなる。最悪の家庭教育と言える。
ある調査データー(ネット。出どころ不明)によると、高校生の5大悩みは①進路が決められない、②親の干渉が厳しい、③彼氏・彼女が欲しい、④大学に行く意味が分からない、⑤バイトを許可してもらえない・・・となっている。②と①に関係するが、子供は親の持ち物ではない。上からの目線で注意し、ガミガミ意見を述べるのでは、②のように干渉が子の悩みになり、自主的判断力を弱め、①の進路が決められない子になってしまう。子供同士の部活動ほかの交際にまで関与すれば、友達が少なくなっり、③の彼氏・彼女が出来ないことにつながる。長じて「結婚したくない」「異性との交流がなく結婚できない」と言うことになる。
「勉強、勉強」と尻をたたかれぱなっしであれば遊び、読書、芸術やスポーツを楽しみ、自由に知識を得る楽しさが消え、④の大学に行く意味も分からなくなる。バイトをむやみに禁止すれば、「親が働いて初めて家庭の楽しさも維持される」という勤労の大切さがわからない人間に育ち、大学を出ても働かない子になるかもしれない。バイトについては目的も良く聞き、「勉学に支障をきたしません」と一筆約束を取り付け、許可するのは間違いではない。
最終、親は子をやや遠くから見守り、子の人生を左右する決定的局面・・・例えば健康、失敗や失恋等の何らかの挫折、進路決定、就職、結婚等に、アドバイスやサポートするにとどめるべきである。
「遠巻き型・自由放任主義」の次に来るのは、「個性を発見し、個性を伸ばす」である。強みとなる個性を親子の会話を通じ発見し、その個性を伸ばすのなら子の努力は比較的楽に実りやすい。自信がキリ先になり、不得手なものへも挑戦するようになる。子供の成功体験=自信をどれだけ増やせるかで、家庭教育は飛躍的に楽に進むものだ。
出来れば次のようにワラ半紙を4つに仕切り、子の個性(強さ・弱さ)と社会環境との関係について、親子で談笑しながら自由に書きまくり、認識を共有して進むのがベターである。これを経営学ではSWOT分析というが、枠内の項目設定は、企業診断とは異なってくる。つまり単に強み・弱みで分けるだけでなく、好き・嫌いなども配慮して自由自在に書き込む。目的は強みを伸ばし、弱みを減らす。そして社会への適応性が良いか悪いかを引き出すことだ。
機会と脅威は親が調査をしつつ主に書き込み、子をサポートするようにすれば、親への信頼も高まる。無理しても家族共有のパソコンが1台は欲しいところだ。下記の表などの書き込みも自由に増やせる。大学や就職の情報も無限に収集できる。辞書がわりにあらゆる?の回答が得られ、ファミリーで情報を共有でき、家族の絆を強められるからだ。
個性のSWOT親子分析表(進路分析にも役立つ)
Ⅱ.家庭教育の基本
子の強み Strengths
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子の弱み Weakneses
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社交的で友達も多い 粘り強い
物事を深く掘下げる 感性が豊か
好きな学科 好きなスポーツ 好きな芸術 好きな学校 好きな職業
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交際下手 友達少ない 体力ない
根気がない 計画性ない 判断鈍い
実益本意 嫌いな学科 嫌いなスポーツ 嫌いな芸術 嫌いな職業
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機会 Opportyunities
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脅威 Threats
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好きな学科・大学のプラス評価は?
同上の学費等のプラス評価面は?
好きな職業の将来性のプラス要素は?
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右のマイナス評価面は?
右のマイナス評価面は?
右のマイナス要素は?
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企業診断ではPlan(計画)―Do(行動)-Chek(反省)-Action(改善行動)=PDCAという手法もよく採られるが、子供に手帳や日記帳を用意させ、かけるだけ計画と行動、反省、修正行動をかかせることも、自立性を高める一助になる。
親子が認識を共有して進むのがベターである。これを経営学ではSWOT分析というが、枠内の項目設定は、企業診断とは異なってくる。つまり単に強み・弱みで分けるだけでなく、好き・嫌いなども配慮して自由自在に書き込む。目的は強みを伸ばし、弱みを減らす。そして社会への適応性が良いか悪いかを引き出すことだ。
機会と脅威は親が調査をしつつ主に書き込み、子をサポートするようにすれば、親への信頼も高まる。無理しても家族共有のパソコンが1台は欲しいところだ。下記の表などの書き込みも自由に増やせる。大学や就職の情報も無限に収集できる。辞書がわりにあらゆる?の回答が得られ、ファミリーで情報を共有でき、家族の絆を強められるからだ。
個性のSWOT親子分析表(進路分析にも役立つ)
子の強み Strengths
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子の弱み Weakneses
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社交的で友達も多い 粘り強い
物事を深く掘下げる 感性が豊か
好きな学科 好きなスポーツ 好きな芸術 好きな学校 好きな職業
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交際下手 友達少ない 体力ない
根気がない 計画性ない 判断鈍い
実益本意 嫌いな学科 嫌いなスポーツ 嫌いな芸術 嫌いな職業
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機会 Opportyunities
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脅威 Threats
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好きな学科・大学のプラス評価は?
同上の学費等のプラス評価面は?
好きな職業の将来性のプラス要素は?
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右のマイナス評価面は?
右のマイナス評価面は?
右のマイナス要素は?
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企業診断ではPlan(計画)―Do(行動)-Chek(反省)-Action(改善行動)=PDCAという手法もよく採られるが、子供に手帳や日記帳を用意させ、かけるだけ計画と行動、反省、修正行動をかかせることも、自立性を高める一助になる。
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