この釣り場までは入間市仏子から車でわずか20分である。15kmほどと思われるが、人家は川に沿い10戸、5戸と点在して張り付く過疎地帯で、川岸に畑がひと皮のみ張り付くような山間地区。農業だけではやれず別に職場を持つ兼業農家の地区である。その広がりのない畑をイノシシ等から守るため、支柱を多数立て、写真のようにネットを張り巡らしている。いまや過疎の農村部では、見慣れた風景である。
やはり許可をとり鉄砲、罠などで捕獲し子孫を減らす努力をしないと、主客逆転の風景は広がる一方である。10年も前にこの地区の事情を聴き、埼玉県下の屠札場に聞きにいったことがある。「生け捕りして持ち込めば屠殺してくれますか」「しないわけではないが、イノシシは気性が荒く、あばれまわるので屠殺はやだね」と言われたことがある。
しかし、どこの中山間地農業もイノシシ等の被害で危機的状況にある。捕獲し、大いに食べるべきだ。捕獲数を2001年と2012年で比較すると、イノシシが18万4千頭→42万6千闘、シカが14万1千頭→46万6千頭と急増している。鉄砲で殺すか罠によって捕獲するが、これらの猟は11月16日から2月15日の冬場に限られる。
だが肉は屠畜・解体後に冷蔵保管して年中料理屋ほかに出回る。狩猟により現場で殺したばあい、屠場で解体するまでに鮮度が低下する。このため鮮度維持の面からは「はこわな」「囲いわな」「くくりわな」などでとらえ、屠場まで生体移送しと殺―解体―放血し、3度C以下で保存されたものが衛生面で歓迎される。この点は、料理に接するばあい留意すべきだ。なお自然界で取れた鳥獣の料理を「シビエ料理」というそうだが、中心はやはりイノシシとシカと思えばよいだろう。 筆者は童話的な環境小説「成木川の早太郎」の著者
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