仏子駅から南に向かい加治丘陵を越えると、その先に展開するのは茶畑、また茶畑で、霜から茶葉を守るための送風機が何百と見える。クリーンセンターに近い交差点から見ると「狭山茶の中心地」の看板とともに「日本一の道標」の表示と共に、高さ4.1mもある「狭山茶場碑入り道」の石碑がやでも目に飛び込む。丁度、金子地区と東金子地区の境に近い。
写真① 日本一の道標=狭山茶場碑
このエリアが狭山茶の中心であることは、加治丘陵の南の裾にある新久の龍園寺、中神の豊泉寺の二つにそれぞれ「狭山茶の記念碑」があり、「入り道」から2kmほど西に県の茶業試験所があることからも明らかである。
写真② 豊泉寺境内の狭山茶記念碑
入間市の平成29年から38年に至る総合計画ビジョンでも、「狭山茶の主生産地である金子地区を中心に広がる茶畑等を、農業生産地として、また景観地と保全していく」としている。入間市には茶生産者365人がいて、その作付面積は335haであるが、金子・東金子地区の生産者は209人(全体の57.3%)、219ha(65.4%)である。加治丘陵北部の西武地区は9人、6haに過ぎない。茶葉を作ったり仕入れて、加工・販売するのが茶業者と言えるが、入間市茶業協会100人のうち68人までが金子・東金子に属する。
狭山茶の特徴はなにか・・・茶所とすれば日本の北限の地のため(今後温暖化の影響で北進の可能性あり)、ゆくりじっくり育ち、味わいが深いこと。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と言われている。また火入れの面でも、ゆっくりじっくりの「狭山火入れ」がされ、甘く濃厚な味になるそうだ。
第22回全国手もみ茶品評会で、金子地区の比留間園の手もみ茶が1等1席(農林大臣賞)に輝き、1kg100万円のプレミア価格もついた。普通100g5,400円の販売で、日本一高額とされている。
ところでお茶は1番、2番、3番、4番茶・・・と静岡や九州だはときに4回収穫するが、狭山茶は1番茶で全収穫の78%、2番茶で残り22%ほどを採り、多くて2回で終わりである。このためもあり、全国レベルで見た荒茶の生産シェアーは0.75%と少ない。まず地元で大いに飲み、消費拡大につなげないと、生産がますます縮小してしまう。なにせ、加工機械は高度化しており、再投資の際には楽に数千万もかかるそうだ。
ネットで「狭山茶の関連商品」を検索すると、ペットボトルも数点あり、ようかん、紅茶チョコレート、狭山茶コーラ、ロール状のケーキなども開発されている。狭山茶ソフトアイスなどもあるはず。これらと茶そのものを一ケ所に集めた観光の拠点施設+農産物販売所のようなものが「観光拠点」として意図的につくられないと景観のみ見て帰り、地元に一銭もお金が落ちないことになる。市内全域の自動販売機に狭山茶のボトルが並ぶようにならないものか・・・とも思う。