豊泉寺(ふせんじ)は、多くの寺構えと違っている。朱のトタン葺なのが個性的である。すぐ裏庭に池を中心にした金閣寺を思わせる石を多数配した禅宗様式の庭園がある。さほど広くないが、小一時間でも座ってその静寂を味わってみたくなる。平成3年8月に市の指定文化財になっているが、地元の庭師・水村藤四郎氏により明治年間に作られたそうだ。
写真② 左右対の龍の彫刻
写真③ 鐘楼―梵鐘は寛文9年(1669年)に作られたが太平洋戦争時に供出し、昭和39年に再建。直径72cm、重量450kg。
曹洞宗の寺で、正式には松龍山豊泉寺。境内裏一帯が樹齢数百年の古松で、龍のような形をしているので松龍山を唱えた。本堂前には龍の石像が対で置かれている。
創建は天文元年(1532年)で、開基は小田原北条氏の家臣であった豊泉左近将監。金子郷の領主となったが、「関東争乱」で亡くなった父母と武士の冥福を祈るために建立した。しかし、寛保・延享時代に火災にあったので、古い文化財や古文書が焼失し、正確な記録がない。金子十郎家忠の館=城跡とされており、丘に囲まれた立地がそれを思わせる。
写真④ 市の指定文化財の庭園
写真⑤ 庭園を囲む西門
庭園には写真の通り西手(北手にも)に門があり、それぞれ凝った作りである。また外側の庭地には狭山茶場碑もあれば、年代は新しいはずだが、菩薩像を彫った石柱など変わった彫り物がいくつもある。特に複数の菩薩像の美しさには目を見張る。
写真⑤ 超美人の菩薩像が多数彫られた石柱
ここのご住職は彫刻や置物
が好きな様子で、以上のよう
に見ごたえのある彫り物が多
数置かれ、庭園とともに観賞
の余地がある。別途、梵鐘の
奥に「狭山茶の碑」あり。
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