入間市の少子・高齢化・人口減少対策
入間市では各地で公共施設マネージメントについての市民との意見交換会を実施してきた。H30年7月8日の表記についての意見交換会(最終とさえたが、さらに1回行われたはず)に出た。提案されている内容をかいつまんで紹介しよう。今回は人口問題に絞る。
<参考>公共施設マネージメントの概要
①
施設系=小中学校、公民館、図書館、市役所等
②
インフラ系=道路、公園、橋、上下水道
③
プラント系=クリーンセンター、西城、浄水場、最終処分場。
これらの施設が、高度成長期に整備されたが、50年たち鉄筋コンクリー
造りの寿命の約50~60年(耐震建築基準より以前の建設)たち、寿命が日に日に近づいている。
雨漏り、配管類の腐食、建物のヒビなどが生じ、寿命をむかえようとしている施設を、耐震化工事などの工夫して長く使ううとか、時に建て替えが必要になる。また人口減少により税収も減るので、建物や機能の統合をはかり、建設や運営のコストを減らす必要もある。
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1. 税金を払う生産人口は27後に64%に
(1)入間市の人口は、下表のとおり2010年に15万1千人をピークに漸減し、平成30年の現在は推定148,700人ほど。少子化が進む中、27年後の平成57年には112,300人(H30年に比し75.5%)まで減るとされる。
(2)問題は市の税収を支えるのは表の生産年齢層である。この15~64才層は、平成30年を基準にすると27年後には実に64.4%レベル、つまり約2/3までに下がる。これは実に厳しい数値で、「市長さん!人口減少に対し打つべき手を充分打たず、このまま進んでいいんですか」の疑問が生ずる。27年後といえば今生まれた人が結婚適齢期を迎え、子供を出産する年齢である。今人口減少を食い止める対策をとれば、27年後の減少を増加に転じさせることも可能なのだ。
表―1 人口に対する「生産年齢等の構成比% 単位:人
マネージメントと10年ビジョンに出ている表を合体
年度
元号 (西暦)
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年少人口
0~14才
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生産年齢
15~64才
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高齢者
65才以上
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合計
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S60年(1985)
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30,292
26.2%
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78,669
68.1%
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6,545
5,7%
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115,506
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H22年(2010)
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20,495
13.6%
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101,014
66.9%
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29,405
19.5%
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150,914
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H27年(2015)
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19,016
12,7%
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93, 990
62.7%
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36,946
24.6%
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149,952
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H30年(2018)
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17,906
12.0%
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89,952
60.1%
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41,865
28.0%
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148,723
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H33年(2021)
3年後
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16,762
11.5%
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86,229
59.0%
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43,018
29.5%
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146,029
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H38年(2026)
8年後
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15,037
10.7%
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82,364
58.4%
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43,607
30.9%
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141,009
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H57年(2045)
27年後
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10,976
9.8%
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57,972
51.6%
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43,367
38.6%
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112,315
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H57/30年比
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O,613倍
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0,644倍
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1.036倍
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0.755倍
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2.市活性化のビジョンが不明確
少子高齢化→生産年齢層の大幅減少→税収の縮小→併行して進む公共施設の老朽化→施設や業務の再編成 以上の流れは「縮小均衡」のイメージに繋がり、「市の明るい将来」が見えてこない。出席者の1人は「市の総合的改善ビジョンを示してから、こうした提案がなされるべきである」との発言があった。私もその通りだと思う。市のほうでは「市のあるべきビジョンは別途、平成28年~37年に至る10年間のまちづくりの総合計画で発表している」と言う。
だがこの総合計画を見ると、抽象的で過去の延長線上の未達成の計画に過ぎない。「入間市は新鮮で個性的な、かつ実効性のある未来計画を推進する」といった意欲がどこにも見られない。地域の活性化などは、多くの市町村の例を見ると、アイデア豊かで、実行力のある市職員5~6人がいれば達成されている。人口や子供の増えている市町村、川越のような地域活性化に成功した市町村に職員を派遣し、意欲溢れた職員を育て、意欲溢れる市民ボランティアと一体になってことに当たる必要があるのではないか。
3.人口減少対策は国も失敗している
「少子化・人口減少は当たり前」と思う方がおかしい。人口減少は日本が将来、経済縮小で弱小国に転落することを意味する。
1人の女性が一生に産む子供の数を特殊出生率というが、2016年時点で日本は1.440である。フランス1.960、アメリカ1.800、イギリス1.800、ロシア1.750、ドイツ1.500である。日本より低い先進国はイタリアの1.350くらいである。このまま推移すれば、夫婦2人に対して子供1.44人ということだと、日本の国力は今の2/3ほどに縮小し、人手不足が深刻化し移民大歓迎国家になってしまう。それでも良いのだろうか?今日マスコミの議論も、少子化の抜本的改善より外国人の受け入れ問題に終始している。
私は本ブログで「入間市は気候良し、緑の環境良し、学級崩壊なし、犯罪なし」で子
育て環境の良さを強調してきた。だが入間市の特殊出生率は一段と悪いく、子育て環境が整っているとは言えないのだ。平成26年の時点で1.18だ。国全体の1.44と大違いだ。これは周辺地区にも言え日高1.05、飯能1.08、狭山1.18となっている。子育て環境が良ければ、こうした出生率にはならない。
特殊出生率を引き下げる要素には、結婚率や離婚率も関係するが(人口1,000人当たりのその年の該当件数で表す)、結婚率は所沢市の4.49人に対し、入間市は3.84人と低い。離婚率は所沢市1.73人に対し入間市は1.93人と高いのである。
いずれにしても、「結婚したくない」とか「子供を1人以上は、産みたくない」と考える人が多い。「今の給与や年金が将来保証されないはずで、安心して子供をつくれない」との声がある。ただ低賃金層の拡大といった経済問題だけが少子化の原因ではないのである。むしろ所得の高い地域のほうが出生率が低く、低い方が出生率が高い傾向にある。全国の市町村の数は1,742あるが、入間市の1世帯所得は全国301位で上位にぞくするが、出生率は1,600位とすこぶる下位なのだ。
47都道府県の所得を横軸、出生率を縦軸とした分散状況を見ると、右肩下がりの傾向線が引け、両者は半比例する。出生率の高いのは1世帯所得の低い沖縄や九州各県で、低いのは所得の高い東京や神奈川ほかの関東や大阪などである。
一般に高所得の家庭では、子供の高学歴を狙いー一流企業への就職ーそして1人子(少子)・・・の傾向があるとされる。苦労しても複数の子を育て、兄弟が競争し合い助け合う、そして自立心と思いやりのある人間に育ててこそ、親も幸せになることを再認識すべきだろう。1人に期待を寄せた育て方をすれば、ときに恋愛もできず、職場で協調を欠き疎外される人間になりかねないのだ。
4.若いカップルの誕生と流入の促進
では、人口増のため市は具体的にどんな手をうつべきか。
市とすれば、子育て以前の問題として、青年男女の交流・恋愛の場を用意すべきだろう。若者向けのコンサートやイベントを意図的に開催し(周辺の市よりもこうした機会が少ない)、イベントの後に500円ほどの簡易パーティを開き、結婚相談所の方にボランティアとしてヘルプもお願いし、カップルの誕生を促進すべきだろう。なお結婚については家庭教育も大切な要素で、夫婦喧嘩ばかりを見せていれば、子供は「結婚などまっぴら」の気持ちを持ってしまう。
次に若いカップルの流入を促す必要がある。市の気候や自然環境の良さ、子育て支援策(今より充実した出生補助金)などをパンフにし、不動産屋に来る若いカップルに配ってもらうようなアイデアも持つべきだろう。空き家物件や情報も市で管理し、不動産屋に供提するとかし、安い家賃の生活を提案する。また耕作放棄地における市民農園をふやし、若い夫婦に特別な条件で貸し出すようにする・・・これで家計費負担を少しでも軽くできれば流入効果も高まるはず。
出生率のアップには、市が国の子育て支援金に上乗せする支援金を用意すべきだろう。立派な道路や橋、公共施設を造るのをやめ、その一部を割き2子、3子を生んだばあい、特別奨励金を出すくらいの努力が必要だ。たとえば仏子と野田をつなぐ立派な橋が誕生したが、両サイドの歩道は各1mくらいはなくてよかったと思うのだが、皆さんはどう感じるか?。
出生率と関係が深いのが、子育て支援である。市は「待機児童マイナス維持」を強力に推進すべきだ。それには当面、武蔵工業団地の企業などと連携をとり、企業内保育所をそだてるべきだ。これについては埼玉県の補助金もある。企業の側とすればこれからの労力不足を女性で補うばあいのメリトもあり、どこも乗り気になっているはず。中小企業も寄合って、今後統合によって空く公共施設を利用して、共同保育所を作る方法もあるのではないか。
子育てには、近い距離に幼児を遊ばせる公園があることも大切のようである。テレビで人口急増の千葉県某市を取り上げ、子供連れのママの意見を流したが「広い公園がある」の声が強かった。市としても、面ごとに広い公園を設置するよう努力すべきである。飯能市の加須公園の賑わいを見るにつけ、うらやましく思っている1人である。
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