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2015年12月20日日曜日

入間川のイギリス海岸(宮沢賢治)と桜並木

 入間川は太からず細からず、見て、歩いて、運動して楽しめる川だ。写真①は元加治方面の上橋手前から、中橋方面を眺めたもの。手前のシルト層のもろい岩は、大雨のたびに少しずつ姿を変える・・・生き物のようである。太古のアケボノ象の足跡が見つかったのは、このウエーブしたシルトの地帯だ。太古のメタセコイアがスルメイカのようにのされた炭化木が、かつては普通に見られた(いまは姿がない)。この付近は秋にコスモスが乱れ咲く。春にはアユのオトリを売る小屋も建つ(H29年に撤去)。 

シルト層が川波に削られ、写真①のようにきれいなウエーブを描いている。年賀状に添付したところ、宮沢賢治の文章や詩を朗読する強烈なフアンである小中学時代の友人から、「イギリス海岸(賢治の小説題名=北上川の情景)とそっくり」と言われた。「入間川のイギリス海岸」と呼びたい。ただ形状の類似だけでない、北上川のイギリス海岸では炭化した樹木やクルミが出たり(入間川では炭化したメタセコイアが出る。対岸にはクルミの木が数本ある)、昔入江で海水が入ったのか牡蠣殻なども出る(入間川では下流500mほどで、海辺に住む穴ジャコの巣に鉄分が溜まった蛇糞石が出る)、など共通点が多いのだ。違いは北上川のイギリス海岸が泥岩、入間川は粘土と砂の混じったシルト層であること。

    シルト層は水を含むと堅い岩石のようだが、乾燥するともろく、ひび割れし時に50×50×200cmもの塊が台風時などに下流に流れ下り岸辺に漂着するが、しばらくたつと崩れて砂状になる。イギリス海岸も、流れの力やこの崩壊のため形を変える。

写真① アケボノ象の足跡が発掘されたシルト層の景観=イギリス海岸



写真②③(左)(下) 下流から上流を見たイギリス海岸







写真③ 削られた川岸はグランドキャニオンのようだ




写真⑤ (上)北上川の本物のイギリス海岸(地元・花巻観光協会資料より)   この光景も最近は水面下に沈み、常時見えない様子。上流の5つのダムの放水を年に1度抑え、川の水量を減らし泥岩が浮かび出るようにしているが、それでも見えないことも多い様子。  入間川の場合は19号台風で姿は変わったが、ウエーブしたシルトは今も常時川面に顔を出している。

   いずれにしても、他所にはない珍しく、かつ美しい川岸、川中の風景です。入間市としてもこの保存に積極的に取り組み、多くの人に静に見てもらう㏚が必要なはず。




    このイギリス海岸は2019年の19号台風で、岸部分が大幅に破壊され景観も半壊といった状態になりました。本ブログ「台風19号の爪痕ー入間川(仏子)の景観が半壊」を検索ください!南岸の土手続きの河川敷にあったクルミの木もすべて流れ去り、土に隠れていた一段高い位置にあったシルトのウエーブが出現しました(下の写真)。













付近の入間川の景観
写真⑥(右) 中橋側から見た河原にもシルト層が見える 

 北側の河川敷にはテニスコートあり、野球やグランドゴルフ等の出来る広い運動場がある。朝夕に散歩や犬の運動で訪れる人も多い。河原には沢山の野草があり、春の野草の花を観察するのも楽しみである。空き缶等のゴミ拾いをするひともいて、川岸はきれいである。 

南側の土手は300mほど続く遊歩道があり、昭和40年度代に植えられた桜が、春にはピンクの横断幕を作る。秋には曼珠沙華(彼岸花)が2~3万本も花を咲かせ、その数を年々増やしている。土手の南斜面には地元「入間リバーザイド」団地の住民が管理する花壇が伸びる・・・そしてチューリップ、アジサイ、白の曼珠沙華ほか四季の花が咲く・・・日々の散歩や散策には最適のコースである。年に数回、ボランティアの方が来て、土手の草刈もしてくれ、川際を散歩することもできる。

写真⑦ 南側の土手の曼珠沙華   写真⑧ 中橋たもとのJA手前を入ると遊歩道



一度当方のHPが縁で、「入間川の素晴らしさを話して欲しい」と言われ、川沿いの西武小学校の3年生か?に1時間話をしたことがある。このとき担任の先生は、「世間で学級崩壊が問題になっているが、本校は子育て環境が抜群のため、学級崩壊など皆無」と告げられた。 

残念なのは、子供さんが釣りやすいオイカワやハヤなどが、護岸工事の不備などで年々少なくなっていることだ。雑食性のコイが増え、卵の段階で食べてしまう・・・との話もある。上橋上流には、カワウとシラサギの集まる場所があったが、これも「最近の護岸工事でいなくなった」との地元写真家の嘆きも聞いている。自然の守り方の難しさを痛感する。

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