写真の2つとも蛇糞石だが、右側は墨を塗ったふしがあり、本物の色は左側のほうである。西武線仏子駅近くの入間川の特定地区に埋もれている。入間川の中流域は昔、何度か海が伸びてきた地域で、海岸の入江に穴ジャコ類の1つが生息。そのI字やY字(入口2つ)の巣穴が菱鉄鉱で埋められ固くなったものが蛇糞石である。
「巣に入った砂が固まった」との紹介もあるが、鉄のように重い。実際に触れてみたければ仏子駅北口前の「喫茶シオ」にこの2つがある。掘り出させる現場は「保存のため秘密」としておきたい。切り立った断崖状のところである。
ネットを探しても他所の事例がない。おそらく極めて珍しい土壌環境で生成されたようである。隆起した断崖の土壌の中に混じり、上部は林である。つまり植物の出す酸のようなもので菱鉄鉱が徐々に溶かされ、沈積したのではないか?と思うが、友人の1人は「ある日、一気に砂鉄状のものが詰まったものでは」ともいう。砂の中のただの穴なら波と砂で埋まってしまうが、穴ジャコが巣穴を粘液質のもので固めていて、そう簡単に崩れないのも幸いしたように思う。
切り立った断崖の前の入間川には、「蛇糞石になりそこない」みたいな、同じ大きさの茶褐色の穴文様がいくつもある。だが茶の土を除くと白い浅い穴に過ぎない。こちらは菱鉄鉱で埋まる前に、普通の砂などで埋まってしまった跡ではないか。
蛇糞石は全国的に分布していないようで、まさにミステリアスで貴重な存在である。「180万年前の更新世前期の仏子層の凝灰質砂岩中に見られる」との解説がある。
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